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Martinの「デジカメ指南」
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tips79 始めてのデジタル一眼(究極の構図)
コンパクトでお馴染みの機能からハイレベルの機能までが凝縮され、初心者から玄人まで、撮影者のニーズ、力量に応じた撮影が約束されているデジタル一眼レフ。満を持してデジタル一眼レフにグレードアップしたものの、使いこなせるかどうかと心配する諸兄も多いのではなかろうか。そこで、不安に感じてみえる諸兄の背中を押す意味でも(おさらいも含め)、押さえておくべきポイントをお伝えしていくことにする。今回のテーマは、永遠の課題「構図」である。
<構図、その前に>
これまでに何度となくお尋ねいただく「構図」であるが、筆者自身あまり意識して撮影してきた感覚はなく、どちらかといえば「イメージ」で撮影してきたに過ぎない。(これでは味も素っ気もないが・・・)ところが、個別具体的に見るならば「こだわり」のポイントも無くはない。ただ、頭から意識して撮影するのではなく、「動きを表現」したり、「画面バランス」を、感覚的(イメージ)に扱ってきたというのが本音である。絵画の心得のある方なら「キャンバス」を、生け花に心得のある方なら「器」を、ファインダーに置き換えていただければ理解も早まるのではなかろうか。
<何を撮りたいのか>
一般的に、画面にあれこれと入れようと欲張るあまり、出来あがった写真からは何を撮ろうとしているのか、作者の意図が分からないことが多い。画面の中にたくさんのものを入れてしまうと、何を撮っているのか分からない状況説明的な写真になってしまう。きれいなものがあるのは誰が見ても分かるが、背景に余計なものが写っているために、撮影した人の意志がほんとうに伝わる写真にはなっていないのである。
例えば、記念写真などを撮る場合・・・往々にして「主役(手前の人物)も撮りたい」「背景(バック)の建物や風景も撮りたい」と欲張ってはいまいか。その気持ち、分からない訳でもないが、背景を意識するあまり、結果として主役である人物が小さく写ってしまうのである。そして、写真をもらった人からは「どこに映っとるんや?」などといわれるのが落ちである。
写真(作品)の良し悪しは別としても、何を撮りたいかが相手に分かる写真ほど、好感を持って受け止められやすいものである。二科展をはじめ多くの写真展を見る機会があると思うが、素晴らしい作品ほど、作者の狙いや意図が明確になっているのは言うまでもない。うんちくを並べ立てるより「作者は何を撮りたいと考えているのか」「作者の狙いは何か」などに注目して見ていったほうが、理解も早いしより現実的であろう。
<先ずは主役探しから>
人物撮影ならば迷うことのない「主役」選びでも、こと風景や花の撮影では(あちらこちらと)目映りするあまり主役を決めかねるケースも多い。そこで味方となるのがズームレンズである。撮りたいものをハッキリさせるためには、被写体に近づいたりズームを括用するのが一番の近道。何気なく見ている風景も、ズームアップすることでいろいろなポイントがあることに気づく。早い話が、狩人が双眼鏡で品定めをするようなものである。
花の場合ならズバリ! 「色」「形」「バランス」が決め手。例え、道端に咲く(普段気付くことのない)小さな草花にでも、先ずはレンズを向けてみることである。「スターを誕生させるか否かはあなたの双肩に委ねられている」といっても過言ではない。
<主役と脇役>
絵画などでは、限られたキャンバスの中で、主役と主役が引き立つように画面構成や配置を考えて描いていく。 早い話が、絵画では作者の必要とするものだけがキャンバスに書き加えられ、主役の表現を妨げる不必要なものは描かれない。ところがどっこい、写真の場合はそう簡単にはいかない。なぜなら、カメラを向けて写したのもは全て写ってしまうからである。
そこで、撮影者であるあなたが、明確な意思を持って、ファインダーから不必要な物を排除していく作業が必要となり、表現したい主役を強調するためには、主役と脇役を上手く配置する必要がある。余談であるが、「絵は足し算の芸術」、「写真は引き算の芸術」といわれるのも、いかにフレーミング(画面構成、構図)が重要な意味を持っているかということを表しているのである。
<フレーミングでイメージは変わる>
構図を決めるときは、絵を描くときと同様に、感動した部分を中心に、四角い液晶画面(ファインダー)の中に(あたかもをデザインするが如く)バランスよく配置していく。例えば風景写真なら、大風景の中でどの範囲を切り取るかがフレーミング。そしていかにまとめるかが画面構成である。
感動した風景の中でも、特にどの部分をどのように写したいのかを考え、的確に切り取ることで、自身の作品が見違える程グレードアップするのは間違いない。広角レンズを使って広範囲を写す(スケールを表現)のか、それとも望遠ズームレンズで部分的に切り取るか。はたまた、横位置か縦位置か。
<ちなみに・・・>
構図に迷ったときには、俗に「黄金分割」を使うと構図をまとめやすくなるといわれている。画面を縦横に三分割する線を引き、その交点や交点を結ぶ線などに被写体や画面の線を配置するとバランスよく見えるという絵画の技法である。例えば水平線を扱う場合(水平線が)画面の中心にあっては(画面を2分割して)どちらを強調したいのかが分からない。そこで、上「1/3」若しくは下「1/3」に合わせることでることで、バランスよく見せることが出来る。このほかにも、左右対称(シンメトリー)に配置する技法や、三角配置、曲線や対角線に配置する技法などがあるが、あくまでも参考程度に利用されるとよい。
<究極の構図とは・・・>
写真を撮るときの構図には決まりというものはない。どんな構図で撮影しても自由なのである。ただ必要なことは、何を撮ろうとしているのか明確にするためにも、撮りたいものが画面の中で一番目立つように工夫すること。写真はそこに写っているものから見ている人がイメージを広げていってくれるもの。そのためにも被写体を単純化(主役と脇役、背景処理)させることで、見る人にきちんと内容を伝えたい。余分なものが写っていては、見る人に余計なイメージを与えてしまうだけでなく、メッセージ自体は弱くなってしまう。
(持論ながら)完璧な構図というのは結果論でしかない。構図は撮ったその場で完全にまとめられるものではないので、少しずつフレーミングを変えながら、横位置だけではなく縦位置の構図でもたくさん撮影されることをおすすめしたい。(あの時もう少し撮っておけばよかったと)後で泣かないためにも選択肢は多いほうが(たくさんの候補の中から一番いいのを選べるから)いいのである。ちなみに、よく日の丸写真(構図)はだめだといわれてるいが、しっかり構図を考えたうえで一番まとまるのであれば、それでいい。セオリーを打ち破るのも、究極の選択のひとつであるのだから・・・。
<おわりに>
ひとくちに「構図」や「フレーミング」と言っても、なかなか(理屈を)言葉では伝えにくいテーマ。その反面、いちいち構図を意識するあまり、貴重なシャッターチャンスに出会ってもシャッターが切れないことになるのも事実。セオリーは(頭の中で)理解してはいても、実際に撮って(確かめて)見なければ絵に描いたもち。そのためにも、いろいろな機会を通して、お試しいただくことをおすすめする。感動は、新鮮なうちに調理するのが一番。TRY AGAIN!
◆感動する被写体に出会ったら迷わずシャッターを切る
◆次に、ファインダーの四隅のチェックする。(時には拡大して確認を!)
◆不要なものがあれば、少し角度を変えてシャッターを切る
※要らない画像はその場で削除できる。しかし削除は自宅へ戻ってからでも遅くはない。
2007年06月 write.
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