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Martinの「デジカメ指南」
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tips46 待望のデジタル一眼、ボディ内臓手ぶれ補正機能の威力
11月19日、コニカミノルタより待望のデジタル一眼レフカメラが発売された。デジタル一眼レフに世界で初めて搭載された“ボディ内蔵手ぶれ補正機能 Anti-Shake(アンチショック)”が、カメラ撮影の大敵である“カメラぶれ”を防いでくれるというもの。コニカミノルタファンのみならず、注目を集める手ぶれ補正機能だけに、期待と不安が入り混じる。さて、その効果や如何に・・・。
<はじめに>
α9000に憧れてユーザーとなってはや17年。オートフォーカスで一世を風靡した一眼レフメーカーも、各社から相次いで登場するデジタル一眼レフカメラをよそに、長い間、沈黙を守り続けてきた。その後、ボディに手ぶれ補正機能を内蔵した新しいタイプのデジタルカメラを登場させた(私も含め、半ばあきらめで手にする銀塩ユーザーも少なくなかったのではないか)が、所詮、一眼レフには程遠い代物であった。2004年2月12日、長い間の沈黙を破って「デジタル一眼レフ」発売(2004年秋に)予告。そして、11月19日、鳴り物入りでα7デジタルが登場した。(すでにユーザーの首は伸びきっていたのではなかろうか(^^;)
<そもそも手ぶれ補正機能>
カメラ撮影にとって一番の大敵は、カメラブレ(手ぶれ)。風景写真でもっともドラマティックといえる「朝夕の光景」も、“カメラブレ(手ぶれ)”を克服しなければ手に入れることは出来ない。頑丈な三脚を据えて撮影するならともかくも、“気軽に”“簡単に”“綺麗に”という、いわゆる“今流のデジカメの法則?”からすれば、いかにして“カメラブレ”と付き合っていくかが重要な課題となろう。
そこで登場するのが手ぶれ補正機能である。コンパクトタイプのデジカメでは、Lumixシリーズに搭載されているジャイロセンサー。レンズ交換の出来ない一眼レフタイプデジカメでは、DiMAGE Aシリーズに搭載されているアンチシェイクがある。いずれも、その効果が絶大であることは体験を通して実証済である。
一方、銀塩カメラでは、その対策としてレンズ側に手ぶれ補正機能を内蔵した交換レンズが発売されている。確かに“カメラブレ”には効果があるものの、レンズ自体が高価であることや特定のレンズに限られることなどから、必ずしも普及するまでには至っていない。「もし、カメラ本体に“手ぶれ補正機能”が搭載されたなら、全てのレンズで“手ぶれ補正機能”の恩恵にあずかれる・・・」と、多くのユーザーが望んでいた夢のような話が、遂に実現することとなったのである。
<ボディ内蔵手ぶれ補正機能 Anti-Shake(アンチショックの威力>
α-7 デジタルは、日本の35mm判一眼レフカメラのメーカーとしては最後発のデジタル一眼レフカメラであり、すべてのαレンズで手ぶれ補正機能が動作するのが最大のウリである。搭載されているのは、撮影レンズの一部を動かす光学式の手ぶれ補正ではなく、ボディ内でCCDを動かし手ぶれを補正する独自のCCDシフト方式。角速度センサーによりぶれの量と速度、方向を検知し、専用の高速ASICが使用レンズの画角特性に合わせてCCD上でのずれ量をリアルタイムで換算。ピエゾ素子(圧電素子)を応用した独自の補正駆動アクチュエータSIDM※1で光軸上のCCDセンサーを上下左右に駆動することでぶれを解消し、シャッター速度で約2〜3段分の補正効果が得られるというもの。
例えば、焦点距離300mm(35mmフィルム換算※で450mm相当)の望遠レンズで、手ぶれなしで撮影するためには、およそ1/500秒のシャッタースピードが必要といわれているが、1/60秒から1/125秒のより遅いシャッタースピードでもぶれの少ない撮影が可能となる。また暗いシーンでも、ISO感度をアップせずに手ぶれ補正の効いた撮影が可能となるため、ノイズが少なく画質劣化もない。シャッター操作などによる手元の小刻みな揺れや、体全体のゆったりとした揺れの両方で効果を発揮するという優れものである。
※CCD(撮像素子)の大きさが、35mmサイズよりもひと回り小さいAPS-Cサイズのものを搭載しているため、レンズの画角は本来の画角よりも狭くなり、見た目の焦点距離はレンズ本来の焦点距離の約1.5倍になる。
実際に、手持ちの交換レンズを使って撮影してみたが、なるほど手ぶれ補正の威力はなかなかのものである。16ミリ魚眼、17〜35ミリ超広角ズーム、35ミリ広角、28〜70ミリ中望遠ズーム、80〜200ミリ望遠ズーム、300ミリ及び400ミリ望遠、500ミリ反射望遠、50ミリ及び100ミリマクロ、100ミリソフト、135ミリSTFレンズと、いずれをとっても効果は絶大である。いわゆる手ブレ限界から3段以上のスローシャッターを切っても“カメラぶれ”は見られない。「私はスローシャッターには自身がある」といわれる方ならば、さらにスローなシャッターが切れるかもしれない。
これまで、マクロ撮影(花のクローズアップなど)では、三脚はなくてはならない必須のアイテムであったが、限界はあるものの手持ち撮影でも十分な撮影が可能である。また、これまで三脚を使用するか、よほどの明るい条件でなければ難しかった500ミリの反射望遠レンズでの手持ち撮影もラクラクで、銀塩一眼レフ(αシリーズ)では考えられないほど撮影の幅が広がったことを実感させられた。さらに特筆すべきは、“α銀塩用の交換レンズ”のボケ味の素晴らしさを、そのままデジタル一眼レフで味わうことが出来ることである。実際に撮影した画像をプリントアウトして、思わずため息が出た。「ただただ画期的というほかない」これが正直な感想である。
<最後に>
今回、デジタル一眼レフに世界で初めて搭載された“ボディ内蔵手ぶれ補正機能 Anti-Shake(アンチショック)”を紹介したが、カメラ本体価格(約20万円)は決して安くはない。また、初心者用というよりは中級者以上向きのデジタル一眼レフカメラなのかもしれない。こうしたデジタル一眼レフが登場する時代になった今、今後の普及次第では、“初心者向け” あるいは “上級者向け” 製品の登場を予感せずにはいられない。
「既に銀塩αユーザーであるのなら、ぜひご検討を!」とあえてお勧めしよう。リバーサルフィルムのような素晴らしい発色やボケ味を、そのままデジタル一眼レフで味わうことが出来るからである。また、ボディ内蔵手ぶれ補正機能搭載で、すべてのαマウントレンズで恩恵を受けることが出来るため、市中に出回っているαシリーズの中古レンズを比較的安価で求めるなど「そろそろしっかりとしたデジタル一眼レフを」とお考えの諸兄にも、魅力のデジタル一眼レフカメラとなりうるのではなかろうか。過去?の資産(交換レンズなど)たちを、見事に生き返らせてくれただけでなく、あらためて撮影の“楽しさ”“新鮮さ”を実感させてくれたα-7 デジタル。写真を始めた“あの若かりし頃”の自分に逢えたような気がする。
<主な特徴>
・理想のボケ味を再現する610万画素の大型CCD
・高レスポンスと高画質を達成した新画像処理エンジンSUPHEEDR II
・自然で印象的な質感描写を追求したCxProcessR III
・使用目的に合わせて選べる3つのカラーモード(ナチュラル(sRGB)とナチュラル+(sRGB)、Adobe RGB(ICC))
・効率的に撮影ができるRAW+JPEG同時記録
・豊富な情報を明快に伝える大画面2.5型液晶
・撮影データを見やすく表示するナビゲーションディスプレイ
・直感的で分かりやすいダイヤル&レバーの快適操作
・明るく見やすい新設計の高性能ファインダー(光学ガラスペンタプリズム採用、ファインダー倍率0.9倍、視野率95%)
・耐久性に優れたマグネシウム合金採用ボディー
・シャッターチャンスを逃さない高性能AF(ワンショットAF、コンティニュアスAF、AF自動切り替え、マニュアルフォーカス)
・αシリーズで磨きあげられた定評ある測光システム(14分割ハニカムパターン測光、中央重点的平均測光、スポット測光)
・複雑な光の状況に対応できるホワイトバランス(オート、微調整可能な6種類のプリセット、カスタム、色温度設定)
・高画質モードで約3コマ/秒、最大9コマまでの連続撮影が可能
・ゾーン切り替え機能(ハイキートーン、ローキートーン)
・低圧縮エクストラファインモード搭載
・ISO感度設定(オート、100、200、400、800、1600、3200)
<資料>
撮像素子 有効約610万画素 APS-Cサイズ 原色フィルター付CCD
シャッター 電子制御式縦走りフォーカルプレーンシャッター
シャッター速度 30〜1/4,000秒、バルブ
測距方式 TTL位相差検出方式(中央クロス9エリア8ライン)
測光方式 TTL開放測光(14分割ハニカムパターン測光、中央重点的平均測光、スポット測光)
レンズマウント コニカミノルタαマウント
対応レンズ コニカミノルタαレンズ
記録形式 JPEG、RAW、RAW+JPEG
記録画素数 3,008×2,000、2,256×1,496、1,504×1,000ピクセル
液晶モニター 2.5型TFT液晶、約20.7万画素
記録媒体 CF、Microdrive(別売のアダプター使用で、SDメモリーカード、MMCにも対応)
USB USB 2.0
内蔵ストロボ ガイドナンバー12(ISO100)、同17(ISO200)
電源 リチウムイオン充電池
サイズ 150×77.5×106mm(突起部を除く)
重量 約760g(電池、メモリーカード含まず)
2004年12月 write.
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