【メリット】 ・高画質・高解像度 仮にAPS-Cとフルサイズの撮像素子が同じ画素数だと仮定した場合、センサー自体の面積が大きくなることで1ドットあたりの面積も増えるため、画質は格段に向上し、より高解像度・高画質、さらには階調描写に優れた画像が得られる ・ファインダーの見やすさ ファインダー内の表示の大きさは、センサーサイズとほぼ比例するため、APS-C機に比べて格段に大きなファインダー表示となる。構図やピントの確認の容易さもさることながら、マニュアルフォーカスでのピント合わせも容易になることから、意図した撮影により近づくことが可能となる ・交換レンズの実力をフルに発揮 フルサイズ機ならばこそ、35mmフイルム一眼のために開発設計されたレンズの「実力」を十分に如何なく発揮させることができる。ちなみに、APS-C機だとその都度アタマを切り替えて、焦点距離を換算しなければならなかったものが、フルサイズ機だと本来の画角で撮影ができることで、違和感なく撮影にいそしむことが出来る ・ボケを生かした撮影 センサーサイズが大きいほど、同じ画角(写る範囲)でのレンズの焦点距離が長くなり、被写界深度は浅くなる。つまり、画角と撮影距離、絞り値が同じなら、APS-C機よりもピントを合わせた部分以外の前後のボケ量が多くなり、背景をぼかした奥行きを感じる表現が容易となる |
【デメリット】 ・カメラがレンズを選ぶ フィルム一眼レフ世代の諸兄にはごくごく当たり前のことであろうが、レンズによっては、画面周辺部でのさまざまな収差が誇張されるため、画像の流れや周辺光量不足、色収差が目立つこともある。(絞りを絞り込むことでこうした収差の補正が可能となる) 結果として、高性能のレンズとリーズナブルなレンズではおのずと映り方は違ってくる。つまり、レンズの性能がもろに出るということである。 ちなみに、35mmフイルム一眼のために開発設計されたレンズの中には、そうしたレンズの収差を利用して作られた銘玉も数多い。 ・レンズが高い カールツアイスなど一部のレンズを除き、デジタル専用のレンズは小型・軽量、しかもリーズナブルである。しかしながらフルサイズ機では、センサーサイズが大きくなる分レンズの周辺部分まで使用するためにコストは高くなってくる。また、レンズの性能がもろに出てしまう故に、フィルム一眼レフ時代のレンズを使い回す場合には注意したいものである。 なお、純正レンズにこだわらなければタムロンやシグマなどのレンズメーカーから、リーズナブルな価格で多くのレンズが発売されているので、たくさんの選択肢の中からお気に入りのレンズをお選びいただきたい。 ・手ブレがシビア フルサイズ機の場合、画素数が極めて高く、画像サイズが大きい故に、わずかなブレが決定的な失敗の原因となる。そのためには、手プレ補正機能の活用や三脚の積極的な使用が求められるところである。合言葉は「丁寧」に、そして「落ち着いて」である。 ・ピンボケ ボケを生かした撮影の裏返しになるが、センサーサイズが大きいほど、同じ画角(写る範囲)でのレンズの焦点距離が長くなり、被写界深度が浅くなる。APS-C機に比べ、ピントを合わせた部分以外の前後のボケ量が多くなるため、ピント合わせのシビアさも同時に要求されるのである。AFの使いこなし方もさることながら、(特にマクロや風景撮影などでは三脚の使用と)MFに切り替えて、マニュアルでのピント合わせが必要となる。付け加えるならば、ピントをどこに合わせて撮るかで作品の意図が大きく変わるだけに、丁寧に、そして落ち着いて撮影したいものである。 |
NIKON AF-S VR Zoom-Nikkor ED 70-200mm F2.8G(IF) 希望小売価格 283,500円 |
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CANON EF70-200mmF2.8L IS USM 希望小売価格 294,000円 | |
SONY 70-200mm F2.8G SAL70200G 希望小売価格 346,500円 | |
TAMRON SP AF70-200mm Model A001 F2.8 Di LD [IF] MACRO 希望小売価格 104,790円 |
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SIGMA APO 70-200mmF2.8 U EX DG MACRO 希望小売価格 123,900円 |
NIKON AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED 希望小売価格 273,000円 | |
CANON EF24-70mm F2.8L USM 希望小売価格 231,000円 | |
SONY Vario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSM 希望小売価格 252,000円 |
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TAMRON SP AF28-75mm F2.8 LD [IF] MACRO 希望小売価格 57,750円 |
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SIGMA 28-70mm F2.8 EX DG 希望小売価格 52,500円 |
SONY 16mm F2.8 Fisheye | |
SONY 50mm F2.8 Macro | |
SONY Planar T* 85mm F1.4 ZA | |
SONY 100mm F2.8 Macro | |
SONY 135mm F2.8 [T4.5] STF | |
SONY 300mm F2.8G APO_SSM | |
SONY 500mm F8_Reflex |
SONY 70-200mm F2.8G SSM | |
SONY 70-300mm F4.5−5.6G_SSM | |
SONY 70-400mm F4-5.6G SSM |
【ズームレンズ】 超広角ズームはズバリ!スナップ。 肉眼とは違った視野の面白さも魅力的だが、形だけにこだわってしまうと、意図がぼやけて、見飽きられる。余程のシャッターチャンスでも無い限り大作は難しい。そのためにはに、作画意図を明確にして撮影に望みたいものであるまた、標準ズームも撮影用途はオ−ルマイティだが、個性を表に出しにくいレンズでもあり、インパクトある作品づくりには、いささか難しいものがある。とはいえ、常に80点は取れるレンズであり、(単に焦点距離だけでなく)扱い安さも含め、標準ズームと呼ぶに相応しいレンズであることには違いない。 その点、望遠ズームはポートレートのアップから、風景などのロングまで幅広く使え、F2.8通しの大口径レンズなら単焦点レンズ並の切れ味(高画質 解像度)で、お好みのアングルで切り取ることができる。ちなみに、筆者はこの望遠ズーム(フィルム時代は80-200mmF2.8、現在は70-200mmF2.8SSM)で、入賞・入選総数の約5割を占めるに至っているという、作品づくりにはかかすことの出来ない懐刀である。 |
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【単焦点レンズ】 オ−ルマイティではないが、作品づくりに個性を発揮させるならば、迷わず選びたい単焦点レンズ。魚眼レンズからポートレート専用の最高級レンズ、マクロレンズ、とろけるようなボケ味が魅力なSTFレンズ、誰しもが憧れるサンニッパ(300mmF2.8APO)、リングボケが魅力の反射望遠レンズなどなど、個性派レンズが揃っている。(但しメーカーの垣根によって、使用できないレンズもあるが) 単焦点レンズは、撮影用途(レンズ自身が得意とする分野)や被写体との距離などに合わせて交換していく、言わばゴルフクラブのようなもの。そのためには、どの被写体にはどのレンズと言ったように、アバウトながらも(写真雑誌などのデータが記載された作例を参考に)把握しておきたい。ちなみに、筆者自宅近くにある円形の水田「車田」や、公園でおなじみの「蟻地獄」ならば迷わず魚眼レンズ。円形の被写体ならば、超口角レンズ特有の歪みもなく、逆に丸く自然に撮れる(但し、対周魚眼に限る)のである。また、20、24、28、35mmなどの単焦点レンズは、スナップや風景などの用途に。ちなみに筆者は、35mm1.4Gを夜間のスナップ(ノーフラッシュ)や、波打ち際の砂のオブジェ撮影などにも利用している。 |
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【マクロ撮影】 花などのマクロ撮影には、50、90、100、180mmなどのマクロ専用レンズがあり、レンズメーカー製も含め選択肢は多い。ワーキングディスタンス(被写体とカメラとの距離)や撮影意図(撮影倍率など)に合わせて、自由にチョイスすればいいだろう。 ちなみに筆者の場合、超接近戦には50mm、花に近づくチョウなどのように、一定のワーキングディスタンスが必要、かつ被写界深度を稼ぎたいな場合には100mm。また、自らの作風であるポートレートマクロでは背景のボケを最大限生かすために、135mmSTFを常用している |
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【ポートレート】 ポートレートについては、被写体(人間)とのコミュニケーションから考えれば、85mmF1.4が最有力。この焦点距離には、カメラメーカーが凌ぎを削って高性能のレンズを開発・発売しているだけに、キレ味は抜群である。また、85mmF1.4と共に、よく使用されるのが70-200mmF2.8。キレ味は単焦点レンズ並、しかも動き回れない場面での微妙な距離加減も、レンズ交換なくズーミングで対応出来る、懐の深いレンズである。 ちなみにこのズームレンズ、筆者が最も信頼を置くレンズであり、片時も離したことはない。また、この2本に加えて135mmSTFを場面に応じて使い分けている。 |
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【風景撮影】 風景では、何と言ってもズームレンズ。超広角ズーム・標準ズーム・望遠ズームを問わず、距離がまちまちな被写体をレンズ交換なく自由にフレーミングし、切り取ることが可能。先ずはズームレンズで被写体を品定めしながら(被写体までの)距離を計り、距離に応じた大口径の単焦点レンズに交換して、シャッターチャンスに備えるという筆者の撮影スタイルであるが、結構、大きなアドバンテージがあると自負している。 なかでも、望遠ズームは最右翼であり、前述のように過去の入賞入選総数の約5割を望遠ズーム(フィルム時代は80-200mmF2.8、それ以降は70-200mmF2.8SSM)が占めていることからも、作品づくりにはかかすことの出来ないレンズであることがお分かりいただけるであろう。 余談であるが、風景撮影の現場において、お気に入りの70-200mmF2.8SSMも望遠側の不足感が否めず、止む無く単焦点の300mmF2.8 APOや,、400mmF4.5 APOで対処せざるを得なかった。しかしながら、刻々と変化するなかで決定的瞬間は待ってくれないし、フレーミングも制約される。かといってレンズ交換の時間すらおしいのである(汗) そこへ救世主が登場し、撮影環境は一変。70-400mmF4.5-5.6G SSMの登場である。400mm域はF5.6と暗めながらも、贅沢なSDレンズなどを組み合わせ、新たに開発された開放からキレのあるレンズであり、風景や野鳥撮影には申し分ない。風景作家にとっては、70-400mm域を自由に切り取ることが出来る、まさに救世主となろう。唯一、懸念があるとすれば、銘玉の300mmF2.8APOや400mmF4.5APOの出番がなくなりはしないかと(苦笑) |
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【その他】 最後に、参考までに筆者のライフワークでもある野鳥撮影の、撮影現場をご紹介しておこう。 そもそもが、飛ぶ鳥を落とすことなるため、F値明るい大口径の超望遠レンズが必須。なおかつ被写体ブレの危険性も増大する。そこで、どっしりとした大型重量三脚にカメラを据えて、雲台の動きを上下左右にフリーにしてチャンスを待つ。こうすることで、被写体の微妙な変化にも追随出来るよう、備えるのである(ちょうど大型機関銃の銃座?のようなイメージか)。また、この方法はオ−トレ−ス等での流し撮にも流用出来るので覚えておいていただきたい。 次に、風雪に耐える白鷺の撮影現場(滋賀県マキノ町)でも、ズームレンズは有効な手段。しかも、風雪故に大口径のレンズは必須。(手持ち撮影なら、せいぜいが70-200mmF2.8辺りが限界か) ちなみに、当地では稚アユのさらに小さい稚魚を養殖しているため、おこぼれを頂戴するために彼らは竹生島のコロニーから飛来する。また、当地が全国的にも有名な白鷺撮影のメッカであるため、人慣れしているというか(危害を加えられないと判断してか)比較的警戒心は薄い。これが撮影にはまことに好都合。沖アミ(小さい海老)を餌に、持参したお気に入りの枝(細い枝では止まれない)を浜に刺して、枝に沖アミを乗せおもむろに下がると、餌を狙って白鷺が飛来し枝に止まる。まさにそのチャンスを狙うのである(笑) 他方、夜明け前に飛来する彼らは、最初は遠巻きにたたずむため、超望遠は必須。ちなみに筆者は300mmF2.8APOTELEに2倍のテレコンバ−タを装着して、600mmF5.6として使っていた。時には歩伏前進のスタイルで雪上に腹ばいになりながら、警戒心をあおらないように白鷺に近づき、シャッターチャンスを待つことも。なにしろ相手も生き物、努力無くして大作は生まれないと申し上げておこう。ここ最近、当地を訪れることはほとんどなくなったが、稚魚養殖の休・廃止や生態系の変化などからか、痛んだ白鷺が数多く見受けられるようになったことなどから、以降の当地での白鷺撮影は断念するlことにした。「二度と昔のような姿を目にすることはない」と考えると、とても寂しい思いである。 予断であるが、野鳥撮影をライフワークとするカメラマンの標準レンズは、400mmであると聞く。さすがの70-200mmF2.8も、「帯に短し」で役者不足は否めない。そこで、受注生産の高価な超望遠レンズではなく、それよりは安価な、70-300mmF4.5-5.6G_SSMや70-400mmF4-5.6G_SSMなどを、風景撮影用途と兼ね合わせて考えてみるのもひとつではなかろうか。 |
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