APS-Cと35mmフルサイズのセンサー比較 |
【仕様の概要】 ・有効2,460万画素35mmフルサイズCMOSセンサー(撮像サイズ35.9mm×24.0mm) 「Exmor(エクスモア)」と画像処理エンジン デュアル「BIONZ」の搭載でこだわりの高画質を実現 ・35mmフルサイズセンサーに対応した「ボディ内蔵手ブレ補正機能」搭載 ・緻密なフレーミングワークが可能な、視野率約100%を確保した高品位ファインダー搭載 ・新開発、9点+10点アシストの高速・高性能AFセンサー採用の高性能オートフォーカス ・有効2,460万画素のフルサイズCMOSセンサーで、最高約5コマ/秒の連写 ・大きくて見やすい、写真画質の3.0型「エクストラファイン液晶」を搭載 ・新開発「インテリジェントプレビュー機能」を搭載 ・進化した「Dレンジオプティマイザー」 ・撮影状況や撮影者の意図に合わせて画像の仕上がりを設定する「クリエイティブスタイル」 スタンダード、ビビッド、ニュートラル、クリア、ディープ、ライト、ポートレート、風景、夕景、夜景、紅葉、白黒、セピアの計13種類 ・素早い操作を実現するクイックナビゲーション機能に加え、ボディ上面に液晶モニターを搭載 ・充実したカスタム設定機能 ・信頼性に優れたマグネシウム合金ボディ ・防塵・防滴に配慮した設計 ・約880枚のスタミナ性能 ・約10万回の高精度、高耐久シャッター ・ゴミがつきにくいアンチダスト機能搭載 ・2種類のメモリーカードに対応するデュアルスロット搭載 ・HDMI端子搭載で、ハイビジョン静止画出力対応 ・大きくて見やすい、写真画質の3.0型「エクストラファイン液晶」を搭載 |
α900に搭載された35mmフルサイズ(35.9×24.0mm)有効2460万画素CMOSセンサー「Exmor(エクスモア)」。センサーを独自開発する故に実現した新開発フルサイズCMOSセンサーで、撮像素子の面積がAPS-Cサイズの従来機より約2.35倍もの面積を持ち、その面積に比例し画素数も格段に向上している。35mmフルサイズセンサーとしたことで、「α700」(1,224万画素、5.49μm)と同等の画素ピッチ(5.94μm)を維持しながら、高画素化を実現している点も見逃せない。この高性能センサーがαレンズの描写力を余すところなく受けとめ、高精細な画像データを生成、独自のオンチップ・カラムAD変換方式を採用し、センサーチップ内で6200個ものADコンバーターが一括変換を行い、ノイズの発生を防ぎつつデータを高速転送。さらに、アナログ段階とデジタル変換後の2回、ノイズ成分の除去を行うデュアルノイズリダクション回路の搭載により、圧倒的な低ノイズを実現している優れものである。 「フルサイズ機の魅力はフィルムの時代から染み込んでいる感覚。画角はもちろんだが、画素数の向上や魚眼レンズなど、フルサイズだから表現できる世界もある」「レンズの本当の描写力を生かすためには、低い画素数ではもったいない。まだまだ可能性はある。今回は、APS-Cの12メガピクセルがそのままフルサイズになった形であるため、画素サイズが小さくなるといった、高画素化によるデメリットはない」とはα900開発者の談である。ちなみに、このフルサイズセンサーがもたらす恩恵について、試写画像をRAW現像してみて、初めてその実力をまざまざと見せ付けられるのである。(詳しくは後述) |
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35mmフルサイズの大きな撮像画面を活かす約100%の視野率と、ファインダー倍率約0.74倍の大きな視野。ガラスペンタプリズムとハイパワーコンデンサーレンズを採用し、接眼レンズ系では全て高屈折率ガラスで構成。さらに、接眼レンズ系をはじめとするほぼ全てのレンズ面とペンタプリズムの入射・射出面に、多層膜ARコートを施すことで大きく、明るく、隅々まで歪み・にじみの殆ど無い光学性能に優れたファインダーを実現している。 ファインダーといえば、MINOLTAαシリーズ(フィルム一眼レフ)最高峰「α9」を語らずにはいられないが、長年使い続けてきた筆者としては、「せめてα9に勝るとも劣らないファインダーの実現を・・・」と、心待ちしていただけに、喜びもひとしおである。おまけに、フォーカシングスクリーンにはミノルタ時代から受け継がれてきた「スフェリカルアキュートマット」が採用され、ピントの山がつかみやすく、マクロ撮影などマニュアルフォーカスでの撮影にも強い味方となってくれることは間違いなかろう。 実際に所有する「α9」と見比べても、ファインダーの明るさは勿論のこと、「四隅をしっかり見渡さないと不要物が移りこまないとも限らない」というと大げさに聞こえるかもしれないが、実に広いのである。なお、「α9」の時と同様、F2.8以上の明るいレンズでピントの山がさらにつかみ易い「スーパースフェリカルアキュートマット」を採用したMタイプのフォーカシングスクリーンもオプションで用意されている。 少々横道にそれるが、α900に搭載されたハイパワーコンデンサーレンズであるが、「αの歴史の中でコンデンサーレンズを採用しているのはα-9とα900のみ。コンデンサーレンズで歪曲収差の補正、接眼光学系で球面収差とコマ収差などの補正を担っており、歪曲収差はα-9と比較して1/6以下に低減しており実質的にはまったくゆがみを感じないレベル。また、コマ収差に関しても対角で1/2以下に低減しており、画面の隅々までにじみのないシャープな画像が得られている」とはα900開発者の談である。 |
【35mmフルサイズセンサーに対応した「ボディ内蔵手ブレ補正機能」】 3X-1Xマクロズームを除く、αレンズすべて(互換レンズも大半が対応)に手ぶれ補正の恩恵が受けられるという、コニカミノルタα7デジタルから受け継がれてきた「ボディ内蔵手ブレ補正機能」をさらに進化させ、世界で初めて35mmフルサイズセンサーで「ボディ内蔵手ブレ補正機能」を実現している。 実際に、オプションの縦位置グリップを装着して撮影したが(個人差もあろうが)1/8秒程度でもかなりの確立で手ブレなく撮影することが出来ていることから、かなりの効果は実感できると思われる。ただ、α700に比べてミラーのショックが大きいために、室内や夜間などの撮影条件下では装着しているレンズによっては手ブレの危険性も大きい。また、高画素・高画質ゆえにブレもシビアに再現されてしまうのも事実である。(なお、α900にはミラーアップ機能が搭載され事前にミラーを上げて撮影することが可能となっている)「ここは慎重に三脚を使用しなければ」と思いを新たにしたところである。 |
ミラーが駆動することにより発生する微振動を、露光前に予めミラーをアップして固定することで低減するミラーアップ機能。ドライブモードからミラーアップ撮影を選択し設定する。特にカメラブレが目立ちやすい望遠レンズ使用時などで効果が期待される。 使用方法は、シャッターボタンを押すとピントと露出が固定され、ミラーが上がる。もう一度シャッターを押して撮影する。基本的には三脚を使用しての操作になるが、リモートコマンダーを併用することで更なるブレ対策が可能となるのはありがたい。 |
カメラが多機能になればなるほど、それらの機能の設定や変更をいかに素早く的確に行えるかがカギである。設定変更には、独立ボタンやメニュー操作など、なかなか行き着くことが出来ずいらいらすることも。(現場などでは、いちいち取説などは読んではいられない)α700同様、クイックナビという操作形態を採用することで、迅速な機能の設定変更を実現させている。 先ず、ファンクション(Fn)ボタンを押した後、マルチセレクターを操作して設定項目を選択し、前/後ダイヤルで設定値を変更。通常画面のままでダイレクトに設定項目を選ぶことができるのがクイックナビの特長のひとつで、右手操作だけで撮影時の設定変更に素早く対応することができる優れもの。操作手順さえ飲み込めば、1画面だけで全て(12項目)の操作・確認が出来るわけであるから、使わない手はない。操作項目は、ISO感度、露出補正、調光補正、フラッシュモード、ドライブモード、ホワイトバランス、フォーカスエリア、Dレンジオプティマイザー、クリエイティブスタイル、画質、画像サイズ、メモリーカード切り替えの12項目が網羅されている。 マルチセレクターとは、ゲーム機のコントローラでお馴染みの(いわゆる)ジョイスティック。かなり敏感で、最初は少し使いにくいと感じるかもしれないが、慣れればこれほど快適なものはなく、以降、独立ボタンのお世話になることはほとんどない。 |
縦位置撮影時にも横位置撮影時と変わらない優れたホールド性と操作性を実現する縦位置グリップVG-C90AM。この縦位置グリップをカメラに装着することで、横位置/縦位置ともに良好なホールド性と操作性で快適な撮影が約束される。 グリップ内にはリチャージャブルバッテリーパック(NP-FM500H)が2個まで装着できるため、長時間の撮影(CIPA準拠の撮影枚数:約880枚×2)にも適している。なお、バッテリー2個装着時に一方のバッテリーが消耗した場合、もう一方のバッテリーに自動的に切り換わるようになっている。ちなみに、液晶モニタ内に2個のバッテリーのマークが表示され、1%刻みでリアルタイムに電池残量が表示されるのも見逃せない。 また、カメラボディと同様にマグネシウム合金の外装を採用し軽量化と堅牢性を両立させているほか、操作ボタン・ダイヤル部は防塵防滴に配慮したシーリングを施し、厳しい環境下でも高いパフォーマンスを発揮する。ちなみに、筆者は日頃から縦位置グリップを常用しているが、旅行などに手軽に持っていきたいという向きには、本体のみでもホールド感は優れているので外しても差し支えないと思われる。 |
“メモリースティック デュオ”とコンパクトフラッシュカード/マイクロドライブに対応した2つのメモリーカードスロットを搭載。両方のスロットにメモリーカードを入れ、使用するメモリーカードを切り換えて使える。使用カードの切り換えは、簡単にクイックナビ画面からも行える。“メモリースティック
デュオ”はメモリースティック PRO-HGフォーマット、コンパクトフラッシュカードは高速転送規格UDMAに対応し、有効2460万画素の大容量データの高速処理が可能となっている。 私見ながら、出来ればコンパクトフラッシュカードのデュアルスロットとしてもらいたかったが、ここにきて300倍速の16GBコンパクトフラッシュカードの価格もこなれてきているので、UDMAの利点を大いに活用したいものである。 |
すでにα700で実現されている約92.1万ドット、3.0型「エクストラファイン液晶」。 とにかく有無を言わせない絶品で、実にドラマチックに写し出される。色調・彩度は忠実に再現され、露出補正の効きも一目瞭然で、もはやパソコンでの確認作業は不要かと思わせるくらいの素晴らしさである。ハイブリッド型液晶の採用と液晶モニターへの光の反射や映り込みを抑える多層膜コーディング処理技術「ARコート(反射防止処理)」により、まぶしい太陽の下でも高い視認性が確保され、実物より「キレイ」といえば大げさに聞こえるかもしれないが、ごくごく普通の風景が違って見えるのである。 俗に、写真は光と影と言われるが、透明感がありちょっとした光がとても感動的な写真を演出してくれる。正直なところ、撮影する画像がすべて新鮮に映し出され「(ワクワクするくらい)撮影する楽しさが存分に味わえる」といっても過言ではない。(RAW現像を必要としないJEPGユーザーにはうってつけ) |
従来の絞り効果(ボケ具合)をファインダーで確認する光学プレビュー機能に加え、新たにインテリジェントプレビュー機能が搭載された。液晶モニター上にヒストグラムと共に画像を表示した状態で、露出、ホワイトバランス、Dレンジオプティマイザーの設定変更が、リアルタイムに画面上にシミュレーション表示され、きめ細やかに効果を反映させたうえで撮影することができるというもの。 操作はプレビューボタンを押して開始するが、デフォルトでは「光学プレビュー」に設定されているので、「インテリジェントプレビュー機能」を使う場合はあらかじめ、「カスタムメニュー」のプレビューボタンの機能を「インテリジェント」に切り替えておく必要がある。この機能、当初は食わず嫌い故に、何か子ども騙しのような機能だとタカをくくり、「プレビューはやはり光学プレビューでないと」と、設定すらしなかったのである。ところが怪我の功名か(たまたまサブ機がインテリジェントプレビューに設定してあったために)、後日、驚くような体験をすることになるのである。 もともと、この機能は三脚を据えて撮影して始めて真価を発揮するものだと理解していた。(手持ち撮影では、アングルが変われば露出も微妙に変化し、同じアングルで撮影することもままならないと考えたからである)何も知らないまま、手持ち撮影でプレビューボタンを押してみた。すると液晶モニタ上に画像とヒストグラムが表示されるではないか(この時点で始めて、インテリジェントプレビュー設定になっていることが分かった)。(右画像参照)ならばと、(筆者の場合RAWオンリーなので)露出補正をマイナス側にシフトさせて好みの露出に変更すると、リアルタイムに仕上がりイメージが表示される。仕上げは、モニタ上の構図を再確認してカメラを構えなおし、シャッターボタンを押すだけである。(いうまでもなく記録された画像はイメージどおりの画像であった) この後、(あえて手持ち撮影で)いくつかの場面で操作を体験してみた。アバウトに構えなおして撮影したものの、ほぼ完璧に、もくろみどおりの結果を得ることが出来た。ちなみに、強烈な逆光条件下で意地悪なテストも行ってみたが、経験からは考えられない+2.0EVの補正ながらも、イメージどおりに仕上げることが出来たのである。風景撮影に重きを置く筆者にとって、それ以降、インテリジェントプレビュー機能はなくてはならない武器となったのはいうまでもない。 |
ボディ上面に設けた液晶表示パネルには、シャッタースピードや絞り値、撮影可能枚数やバッテリー残量など、撮影前に確認したい主な撮影情報を、視認性の良い大きな文字で表示。シナバーカラーのバックライト機能付きで暗い場所での確認も容易にしている。 フィルム一眼レフ「α9」の復刻版ともいえる上面液晶。いちいち液晶モニタを見なくとも最低限の操作情報を瞬時に確認することが出来る優れもので、復活を願っていたのは筆者だけではあるまい。 |
撮影画像の記録方式としては、JPEG(スタンダード、ファイン、エクストラファイン)とRAW、cRAW(圧縮RAW)、JEPG+RAW、JEPG+cRAW形式が搭載されている。 cRAWとは、RAW画像のもつ画像細部の情報を保ちながら、ファイルサイズを約60%〜70%に圧縮し記録するというもの。それでなくてもメモリ食らいのRAWのこと、この圧縮RAWを選べば8GBのCFで約313枚の撮影が可能となる(通常のRAWで約211枚)。ちなみに、有効2460万画素35mmフルサイズセンサーのお陰で画像の記録容量は飛躍的に向上?しており、RAWで約38MB(α700では約18MB)、cRAWで約25MB(α700では約12MB)となっている。これまでα700では、8GBのCFで513枚のRAW画像が撮影可能であるため、8GBのCFカードの4枚体制で対応してきたが、α900では最低限16GB(RAW423枚)、しかも高速転送規格UDMAの機能をフルに発揮できるよう、300倍速CFを準備しているところである。 |
逆光など明暗差が大きいシーンでは、被写体が黒くつぶれたり、背景が白くとんでしまったり、イメージ通りの写真を撮るのが困難である。しかし、この「Dレンジオプティマイザー機能」は、撮影画像を瞬時に分析し、シーンに最適な露出と階調表現に自動補正するばかりか、自然でイメージ通りの写真を撮影できるという。画面全体を均一に補正する「スタンダードモード」と、画面を細かな領域に分けて、黒つぶれと白とびの両方を補正する「アドバンスモード」が選択可能で、補正効果も1〜5 段で選べるアドバンスレベル設定機能も搭載されており、作画意図に応じた設定も可能となる、まさに夢のような機能である。 RAWが主流の筆者にとって(RAWで撮影しても機能は働かないというよりも、生データであるため、現像処理の過程で追い込んでいくことが出来る)この機能はまったく不要であるためテストは行っていないが、多くのレビュー記事を見る限る(レベルの設定はケースバイケースで対応する必要があり、やや難しそうに感じるが)結果として、RAWで現像したような効果がJEPGで発揮出来るようである。ただ、新たに搭載されたインテリジェントプレビュー機能と組み合わせることにより、より確実に最大の効果が発揮できるのではなかろうか。 |
従来は電池マークのみのアバウト表示。「さっきまで満タン表示していたのに・・・」と舌打ちすることも多かった。特に、冬場の撮影においては、電池の消耗は激しく(暖めれば回復はするが・・・)しかもあっという間になくなる恐れもあり、縦位置グリップに常時2個のバッテリーを使用せざるを得なかったのである。このような悩みもα700以降では不要。そこはスタミナバッテリーで定評のあるSONYのこと、1%刻みで常時表示されるように進化している。 特筆すべきは縦位置グリップ使用時の2個搭載時、まず1個目の電池残量が表示され電池不足になるやいなや2個目のバッテリーに切り替えられて、しかも1%刻みで常時表示。まさに至れり尽くせりである。(バッテリーを2個搭載していれば、液晶モニタには2個の状態が表示される) |
バッテリーパック1本で約880枚の撮影が出来るスタミナバッテリーであるが、厳冬期や旅先での電池消耗は予期せぬもの、ここは縦位置グリップの装着と、2個のバッテリーパックの使用をお勧めしたい。そこで活躍するのが、ACアダプター/チャージャーである。本機は、2個のバッテリーパック〈NP-FM500H/NP-FM55H〉をリレー式に充電してくれる優れもので、おまけに充電終了までの時間が分かる液晶パネル搭載が搭載されているので、充電完了を「今か、今かと」待ち疲れることもない。ちなみに、AC-VQ900AM使用時のNP-FM500H/NP-FM55H実用充電時間は、約70分(満充電は約130分)となっている。 |
α900、STF135mm | α700、STF200mm相当 | 飽和した背景の例 |
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