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Martinの「デジカメ指南」
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tips81 初めてのデジタル一眼(マクロレンズ攻略法)
念願のデジタル一眼レフを手にし、ファインダーを通して見る新鮮な映像に一喜一憂されている諸兄も多いのではなかろうか。お気に入りのレンズを手して、撮影にいそしむ姿が目に映る姿が目に映るようである。さて、「身近な花を撮影したが、思いのほか大きく撮影できない」との(デジカメ指南)愛読者からのメールを頂戴した。そこで今回のtipsは、マクロ撮影には欠かせない「マクロレンズ」について取り上げてみたい。
<マクロレンズ、その前に>
実はマクロレンズではなくても、ある程度の接写はできる。特に、最近のズームレンズは最短撮影距離が短く、かなり高い撮影倍率を得られるため、非常に優秀な接写能力を持つものも登場してきている。しかし、マクロレンズのメリットは、単に接写倍率がより高いだけではなく、接写時の画質に優れるところにある。
マクロレンズは、接写(クローズアップ)に重点を置いた設計により、(接写時の画質は)一般的なレンズに比べて差は一目瞭然。また、描写には欠かせないボケに関しても、多くレンズには円形絞り(真円に近い美しいボケ描写)が採用されているため、自然なボケ描写を堪能出来る。接写だけでなく、風景など一般用途の撮影にも常用できるため、愛用者は多い。
<レンズの種類と使い勝手>
マクロレンズは大きく分けて、標準(50mm前後)、中望遠(100mm前後)、望遠(200mm以上)の3種類。それぞれ最大撮影倍率が、1/2倍から等倍(当倍から3倍のものもある)のものが発売されている。しかし、レンズの焦点距離こそ違え、最大撮影倍率が同じであれば結果は同じ。何が違うかと言えば、ワーキングディスタンス。つまり、これはレンズの先端からピントが合う被写体までの距離の違いなのである。
ワーキングディスタンスが長ければ、被写体との距離を長くとることができるため、昆虫などのなかなか近づきにくい被写体を狙う場合や、ストロボ等の補助照明を使いたい場合などには有利。反面、その分レンズは大きく暗くなり、ブレやすくなる。その点、焦点距離が短い標準マクロであれば、撮影距離が短いため被写体により接近でき、例えば小さな花のローアングル撮影時などでも小回りが効いて便利。また、焦点距離が短いのでカメラブレに対しても有利である。
50ミリマクロ
100ミリマクロ
100ミリマクロ
標準マクロは“標準”ということからも、標準レンズ(フィルム一眼レフの場合の50ミリ相当)のように手軽に使えるオールマイティーなレンズ。クローズアップにも強い標準レンズと考えておけばよい。手持ち撮影にも強く、複写ということなら抜群の威力を発揮してくれる。ただし、フィールドで草花などを2分の1倍以上アップしようとすると、ワーキングディスタンスが短くて苦労する(近づくと逃げてしまう昆虫や小動物。自分やレンズの影がじゃまになり、ライティングも自由にはできない)ことになる。また、中望遠マクロに較べると比較的軽量コンパクトで安価である。
中望遠マクロもクローズアップ撮影に強い中望遠レンズだと考えれば分かりやすい。ポートレート撮影に自然な描写の中望遠レンズが向いてるのと同じに、草花の撮影にはワーキングディスタンスも適度にとれ、ボケ描写、背景の整理にも効果的な中望遠マクロが適しているといえる。しかし、いちばんの問題はプレやすいこと、2分の1倍以上の撮影を手持ちでこなすのはとても辛い。また標準マクロより大きく重く値段も高い。
<ピントにシビアな絞りとの関係>
マクロ撮影では、被写界深度(ピントの合う範囲)はきわめて浅く(狭く)なる。そこで、この被写界深度をコントロールするのが「絞り」である。
突然だが「ネコの瞳が、昼間のように明るいところでは点のように小さくなり、逆に暗いところでは大きくなる」ことはご承知のことか思う。レンズの絞りもまったく同じ原理で、人間の目の瞳(ひとみ)と同じように、穴の大きさが調節できる板が入っているのである。穴を小さくする(絞り込む)ことで、光の量が減るために暗くなり、逆に穴を大きくする(絞りを開ける)ことをで、光の量が増えるため明るくなる。
ちなみに、レンズでは明るさの単位を「F値」で表わし(F2.8など)数字が小さければ明るく(絞りを開けた状態)、(F32など)数字が大きくなれば暗く(絞り込んだ状態)なるのである。話を本論に戻すが、絞りは単に明るさを調節するのではなく、被写界深度をコントロールするために設けられていると言って過言ではない。つまり、絞りを開けると被写界深度は浅くなり、ピントの合う範囲はきわめて狭く(背景がボケやすく)なる。逆に絞り込むと、被写界深度は深くなり、ピントの合う範囲が広くなるのである。さらに付け加えるならば、絞り込むほどシャッター速度は遅くなり、絞りを開けるほどシャッター速度は早くなる。つまり、絞り(光の通り口の広さ)とシャッタースピード(光を当てる時間)は表裏一体の関係にあるのである。
全面にピントを合わせたい場合は、絞りを絞ることになるので、その反面シャッター速度は遅くなる。比較的明るい屋外などでは、絞りを絞ってもあまり問題はなものの、屋内や日陰(や雨天)などのように暗いところでは、シャッター速度が遅くなり手ブレの原因になることを念頭に置いていただくことが肝要である。
<必須アイテムは、ズバリ三脚!>
マクロ撮影(近接撮影)をする場合、これはと思うアングル(角度や位置)にカメラを構えるわけであるが、ファインダーの四隅に不要なものが写っていたり、背景がゴチャゴチャしている場合がある。こういう場合には、少し角度を変えてやったり、絞りを調整(レンズのボケ具合を利用)して背景を整理したりする。また、(花に)近づけば近づくほどピントの合う範囲が狭くなるため、(最初選んだ)これはと思うアングル(角度や構図)を長時間維持し続けることは困難である。
撮影してみたら、最初のアングルとは全然違っていた。なんてことならないとも限らない。そこで登場するのが三脚である。選び方など詳しくは「tips72 デジカメアイテム(三脚選びのポイント)」を参照していただくこととするが、特にマクロ撮影の場合は、ローアングル(低い位置からの)での撮影も多くなるので、三脚を選びの際の参考にしていただきたい。
<いざ撮影!しかし・・・>
屋外で花を撮る際、難しいのは風。無風の日なら問題ないが、多少でも風が吹いていれば、花が揺れてしまい、構図が決まらないばかりか、ピント合わせもきわめて難しくなる。おまけにシャッタースピードが遅いと花自体がぶれてしまい、お話にならない結末を迎えかねない。そのためにも、しっかりと三脚を据えて、風がやんだときを狙って「すばやくピントを合わせシャッターを切る!」。そうでなければ、あきらめざるを得ない。
晴天、曇天ならば、シャッタースピードを出来るだけ高速に設定して撮影するのも一手。とはいえ、花がぴたりと止まることはまれ(止まればラッキー!)なので、(後でセレクトの余地を残すためにも)出来るだけ数多く撮影しておきたい。
雨天の場合は最悪である。周囲は暗いし、おまけに雨粒で被写体は止まってくれることはない。(ヘタな鉄砲数打ちゃ当たる)覚悟で、撮影を敢行するか、雨上がりの無風状態を待つしかないのである。ただ・・・、(小雨又は)雨上がりの情景はドラマチックであり、マクロ撮影には最もいい条件。作品作りの好機であることを付け加えておきたい。
また、ピント合わせにもコツがある。まず、マクロレンズでは被写界深度(ピントの合う範囲)がきわめて浅いため、まさにピンポイントでピントを合わせなければならない。どこにピントを合わせるかで写真の印象も大きく変わるため、ここはあえてAF(オートフォーカス)ではなくMF(マニュアルフォーカス)でピントを合わせたい。マニュアルフォーカスにして、ピントをある1点に固定させ、花がピントが合う範囲に入ったときにシャッターを押すのもセオリーのひとつ。また微妙なピント合わせには、ピントリング(手動でピントを合わせるための距離調節リング)に頼るのではなく、カメラごと(つまりカメラを持った自分自身が)前後に動いて調節することも多いのだ。
<おわりに>
クローズアップ撮影の面白いところは、ただ単純に小さな被写体を画面いっぱいに写すだけではなく、たくさんの発見をすることができること。道端に咲く名もない花も、レンズを通してみると、何と可憐で素敵な花だったんだと驚くことも。いい写真を撮りたければできるだけシャッターを切ること。たくさん撮って「いい作品」をモノにしていただきたいものである。
2007年07月 write.
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