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Martinの「デジカメ指南」
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tips78 初めてのデジタル一眼(望遠ズーム攻略法)
念願のデジタル一眼レフを手にし、ファインダーを通して見る新鮮な映像に一喜一憂されている諸兄も多いのではなかろうか。お勧めのズームレンズ(tips75を参考に)を購入して、手当たり次第に撮影してみたものの中途半端な画像ばかり。(レンズの特徴を)頭では理解できているもののうまくいかない。ヒント(撮影のノウハウ)があれば教えて欲しいと、熱心な(デジカメ指南)愛読者からのメールを頂戴した。そこで今回のtipsは、前月の「超広角ズーム攻略法」に引き続き、「望遠ズーム攻略法」 とりわけ望遠レンズについて取り上げてみたい。
<はじめに>
とかくズームレンズというもの、そのほとんどが両端(例えば18〜200ミリなら「18ミリ」と「200ミリ」)しか使わないのがというのは前述(tips77)のとおり。とはいえ、あくまでも経験則であるから、新しく一眼レフを始められた方には通用しないのかもしれないが・・・(汗)初めて望遠ズームを手にした方の多くは、(先ず最初には)最望遠域(例の場合200ミリ)で撮影されていることと拝察される。「いつかは手にしたい望遠レンズ・・・」ではないが、フィルム一眼レフ創世記の頃には高嶺の花だった望遠レンズも、デジタル一眼レフ時代に突入して、安価で軽量、高倍率のズームレンズが次々と登場してきており、ユーザーにとっては誠にありがたい限りである。
<その名が示すとおり・・・>
望遠レンズは、画角が狭く遠くのものを大きく撮ることが出来るだけでなく、焦点距離が長くなるほど被写界深度が浅くなり、大きなボケを活かした画面を作り出すのも得意なレンズである。さらに、遠くのものが近づいてくる圧縮効果が迫力ある画面を生み出したり、狭い画角を活かして美しい部分だけを切り取るなど、どんな場面でもそれなりにまとめることができる、まさに作品づくりにはうってつけのレンズなのだ。
他方、焦点距離が長く(画角が狭く)なるほど、高倍率になればなるほど手ブレは発生しやすくなるので、注意が肝要である。可能性を秘めたレンズだけに、特徴を十分把握しておかないと宝の持ち腐れになりかねない。
<特徴を知れ>
望遠レンズの魅力は、遠くのものを大きく撮ることが出来ること。歪みが少なく、被写界深度が浅いので背景が強くぼけて被写体を浮かび上がらせるように写せるのも大きな特徴である。浅い被写界深度により被写体の前後はやわらかくぼやけて写り、遠い背景は溶けるようにぼけて被写体だけが浮かび上がるように写ることから 人物(ポートレート)撮影などにもよく用いられる。
例えば、次の画像をみると・・・ 左の画像は、実りの秋を迎えた田んぼでのポートレート。背景が溶けるようにぼけ、逆光との相乗効果で主役である少女が浮かび上がっている。右の画像は、紅葉を撮影したもので、前後の柔らかいボケ味が一層主役を引き立たせている。いずれも、望遠レンズの特徴が十分活かされている。
ポートレート例
ボケ味活用の例
もうひとつ忘れてならないのが被写界深度(ピントの合う範囲)。焦点距離が長くなるほど被写界深度が浅く(ピントの合う範囲も狭く)なるので、オートフォーカスを使用した場合、ピントが合わせにくくなることがある。(その場合は、手動でピントを合わせることになる)また、焦点距離が長くなるほどレンズも長く(重く)なり、手ブレの危険性は高くなる。
最近もてはやされているコンパクトな高倍率ズームの場合、単焦点レンズや大口径レンズ(F値が明るく非常に高価)に比べ絞りの開放値(F値)が大きく(暗く)、日中の屋外ならともかくも、曇天や雨天、日陰や朝夕ではシャッター速度が遅くなるので注意する必要がある。
<セオリー>
ズームレンズが当たり前になっている昨今、カメラを構えたらズームリングを回し、ちょうどいいフレーミングに調節して即撮影。これでは、なかなかいい作品にはお目にかかれない。
カメラポジションが変われば写真は大きく変化するし、被写体そのものは同じでも、背景や前景の入り方、その重なり方も変わってくる。また、しゃがんでみたり、見下ろせる場所からアングルを変えて撮影すれば、写真の雰囲気は大きく変わる。要は、「どの位置から撮影するのがいちばん被写体を魅力的に見せることができるのか」である。カメラポジションを変えると、はじめの位置からは気がつかなかった新しい被写体を発見することもでき、さらに作品の幅も広がっていく。フットワークを活かしてカメラポジションを選び、さらにその位置から最適なフレーミングで撮影することが、レベルアップへの近道。優れた作品づくりにのためにも、越えなければならないハードルである。
<テーマ別ポイント>
◆ポートレート
背景をぼかして撮影したい場合、大口径レンズを選ぶことが一番のポイント。(そして絞りは出来るだけ開ける)フィルム一眼レフ時代には、85ミリや100ミリの単焦点レンズがもてはやされてきたが、APS・Cサイズのデジタル一眼レフでは(フィルムサイズに比べて)撮像素子のサイズが小さいために、焦点距離が約1.5倍長くなるので、50ミリF1.4(35ミリフィルム換算で75ミリ相当)あたりのレンズが手頃。(開放絞り値も明るく安価)また、70〜200ミリF2.8クラスのズームレンズも使い回しが良いうえに、ボケ味もきれいなのでとても重宝する。(筆者も80〜200ミリF2.8を常用)
二つ目のポイントは、ピントを合わせる被写体と背景が離れている条件を選ぶこと。人物のすぐ後ろに背景があれば(人物と背景の距離が近ければ)、いくら望遠レンズを使ったり絞りを開けてもきれいにボケることはない。
◆花
本格的にクローズアップ(接写)撮影をするのなら、マクロレンズがおすすめ。画質も格段によく、遠くから近く(当倍)まで何の切り替えもなく撮影できる。マクロレンズといっても、クローズアップ(接写)撮影だけのために存在するのではなく、高度なクローズアップ撮影も可能な望遠レンズと理解していただければよい。
大きな違いは、実物と当倍(3倍まで撮影できるものもある)まで撮影できることと、絞り。通常のレンズの場合、F値はせいぜい「22」止まり。マクロレンズの場合は、「32」あるいは「64」まで設けられている。花びらを画面いっぱいに、しかも出来るだけ多くの場所にピントを合わせるためには、絞りをF値いっぱいにしなければならないが、F22では限界となるため、「32」あるいは「64」のように大きく絞り込めるようになっているのだ。花を画面いっぱいにクローズアップして、(隅々までピントを合わせ)被写体の魅力を引き出すなら50ミリクラスのマクロ。ポートレート風に前ボケ、後ろボケを活用した撮影ならば、100ミリクラスのマクロレンズがおすすめ。但し、マクロレンズといっても100ミリなら立派な望遠レンズ。ピントの合う範囲(いわゆる被写界深度)が狭いので注意。クローズアップ撮影の魅力は、ただ単純に小さな被写体を画面いっぱいに写すだけでなく、普段気付くことのない様々な出会いがあること。小さな昆虫が、突如“怪獣”に変身するなど、普段では考えられなかった世界が広がるのである。
撮影のポイントは、ポイントはズバリ「主役、脇役、バック処理」。詳しくは 「tips29 主役・脇役・バック処理」 から
◆自然や風景
広角から望遠をひととおりカバーしていれば、ほとんどのものが撮影できる。単焦点望遠レンズの場合、撮影ポイントが限られてしまうので、ズームレンズを使うのが便利。絞り込んでの撮影する場合も多いので、大口径レンズでなくてもいい。登山などの移動が厳しい場合には、18〜200ミリのような高倍率ズームを活用すると機材を軽くできる。車で移動してその場で撮影するなら、画質を優先して大口径のズームを使うのもいい。詳しくは 「tips35 必撮!風景写真攻略法」 から
◆スナップ 使わなくもないがあまり適さない!
スナップ(写真)とは、一般的には日常生活のワンシーンを切り取るように気軽に写真を撮影すること。望遠ズームでの一部を切り取ったスナップ写真も効果的だが、「小型軽量といっても望遠ズーム」、日中での使用ならともかくも手ブレには注意したい。また、広角ズームなどに比べ機動性にはやや欠ける。
◆スポーツ・野鳥etc.
遠くの動きがある被写体を撮影する場合には、大口径の超望遠レンズが必要になる。300ミリ以上のレンズがあればそれなりに撮影できるが、小鳥などを撮影しようとする場合には、500ミリ以上の焦点距離をもったレンズも必要になってくる。ちなみに、野鳥専門のカメラマンの常用レンズは400ミリだそうであるから、それ相応の装備が必要となるのはいうまでもなかろう。なお、焦点距離を1.5倍や2倍にするテレコンバータというアクセサリーもあるが、開放絞り値が暗くなったり画質が劣化する場合があるので念のため。但し、夕日などのようにあまり画質を言わない被写体(迫力が売り)などの場合は効果的であることを付記しておきたい。
他方、運動会などの身近な被写体撮影には、望遠ズームはとても効果的。お天気のいい日であれば、手持ちで流し撮り撮影などのテクニックも楽しめる。
<望遠ズーム愛用者へ(トレーニングの奨め)>
超広角ズームと同様、トレーニングといっても特別なものではなく、被写体をどの辺からどのように撮影すればどの様に写るかを身に着けるのが基本。フットワークを活かせるようになれば、一人前。方法は、ズームをしないで決まった焦点距離に固定して(若しくは単焦点レンズを使って)、常に自分が動き回って最適の場所から撮影してみる。
望遠ズームなら、多くの短焦点域(例えば、70〜200ミリなら、85、100、135、200ミリなど)が含めれているため、いろいろなパターンを試すことが出来るのでうってつけ。テーマ別のポイントを参考にしながら、お試しいただきたい。いざというときには、日ごろからのトレーニングが実を結ぶのである。
<さらに上を求めるのなら・・・>
◆三脚を使う(望遠になればなるほど、確実な手ぶれ対策は必須)
一番確実な方法は、三脚を使っての撮影。特に望遠レンズの場合、広角レンズに比べて、レンズ長(ズームの場合いっぱいに伸ばした長さ)や重量が倍以上になるものも多く、気軽なスナップ撮影(いわゆる拾い撮り)以外、三脚使用は必須といっても過言ではない。また、カメラだけでなく装着するレンズも含めた重さ(300ミリ以上のレンズになると、1キログラム以上はざらである)を考え、グラグラしないものや風が吹いてきてもカメラぶれを起こさないようなものを選びたい。折角三脚を使ったのにカメラぶれしていては何にもならないのである。基本的には重い方が安定していいのだが、軽量なカーボン製の三脚もあるので電車や徒歩で移動することが多い人は利用するといい。(但し高価にはなるが)
中心のエレベーター部分(カメラを三脚に固定する台座がエレベータのように伸縮する)は、高さの微調整などに使用するもので、できるだけ三脚の足を伸ばしてしっかり脚を開いて立てることが大前提。(いちいち伸ばすのが面倒だということで)中心のエレベーター部分を伸ばして撮影している姿をよく目にするが、これは不安定極まりなく、カメラぶれを助長しているようなもの。何のために三脚を使用するのか、原点に立って考えていただきたいものである。
マクロ撮影や風景撮影など、低速シャッターを切るときには(指ではなく:指でシャッターを切るとカメラが動いてぶれてしまうことがあるため)レリーズ(リモートコード)を使うことも多い。他にセルフタイマーを使う方法もあるが過去の経験からあまり実用的ではない。詳しくは 「tips72 デジカメアイテム(三脚選びのポイント)」 から
<おわりに>
作品づくりには、なくてはならない望遠ズーム。とりわけ高倍率ズームなら、これ1本でほとんどの場面を賄える強い味方。レンズ交換の煩わしさや、交換時のホコリなどの侵入といったリスクを回避できるほか、トレッキングや山登りなど少しでも機材を減らしたい向きにはうってつけ。手ブレなどのリスクを割り引いたとしても、余りある望遠ズームの魅力。十分にご堪能いただきたい!
2007年05月 write.
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