本文へスキップ
Martinの「デジカメ指南」
tipsメニューへ戻る
menu
tips76 初めてのデジタル一眼(シーンモードはこう使う)
コンパクトデジカメからデジタル一眼レフにグレードアップしたものの、使いこなせるかどうかと心配する諸兄も多いのではなかろうか。しかし、ご安心あれ!コンパクトでお馴染みの機能からハイレベルの機能までが凝縮され、初心者から玄人まで、撮影者のニーズ、力量に応じた撮影が約束されているのである。とはいえ、不安に感じて見える諸兄の背中を押す意味でも、撮影にあたっての基本的な事項について、数回にわたり(おさらいも含め)ポイントをお伝えしていくことにする。
<侮るなかれ、全自動>
簡単「パチリ!」のコンパクトデジカメとは違い、いろいろ難しい操作をしなければならないと思われるかもしれないデジタル一眼レフ。先にも触れたとおり、デジタル一眼レフにはコンパクトデジカメ同様に、シャッターを押すだけの全自動モードが搭載されている。これがなかなか優れもので、簡単に、しかも高画質で綺麗な写真が撮れるのである。かく言う筆者とて、失敗が許されない結婚式や各種セレモニーなど、その殆どがス外部ストロボ(フラッシュ)を使っての撮影には、このモードを利用している。自動焦点、自動露出で、暗いところでは内臓ストロボが自動的に発光するなど、失敗を極力抑える工夫が施され、すべてカメラが自動で操作してくれる文字通りの「全自動」モード。初心者にとって心強いモードであり、初心者ならずとも、困ったときの「神だのみ」ならぬ「全自動だのみ」。覚えておいて損はない。
<しかしながら・・・>
簡単「パチリ!」もいいけれど、写真雑誌などに目を通すと、同じカメラなのに「え〜っ!何でこんな綺麗な・・・」という写真に出会うことがある。画面全体にピントが合っていて圧巻の「大風景写真」、夕日が西に傾き黄昏色に輝く「風景写真」、昆虫や花などを表現した「マクロ写真」、躍動感あふれる「スポーツ写真」、背景が省略されて浮かびあがるような「人物写真」などなど・・・。同じカメラで撮影されてはいても、こうした写真には隠されたテクニックなどが凝縮されているのである。(優れた高価な)レンズによるものも無くはないが、絶妙のホワイトバランス・絞り・シャッタースピード・露出補正などなど、緻密に計算されたテクニックが物を言うのである。
<フィルム一眼レフカメラ時代にも・・・>
余談になるが、1988年5月、一世を風靡したMINOLTAαシリーズの第二世代機α7700i(現在はソニーのαシリーズへと伝統が受け継がれている)に、世界で初めてカードシステムなるものが搭載された。撮影目的に応じて最適な描写が得られるよう、高度な撮影テクニックそのものをプログラムしたカード。AE(露出)やAF(自動焦点)情報を用い、被写体情報に合わせた最適な制御を行うもので、用途に合わせて取替えるという優れもの。当時初心者であった筆者にとって、心強い見方であったことはいうまでもない。
例えば、記念写真などには「オートデプスカード」、マクロ撮影には「クローズアップカード」、そのほかにも子供カード、スポーツカード、スポーツカード2、旅カード、ポートレートカードなどがラインナップされていた。 デジタル時代でこそ当たり前になった(いわゆる)シーンモードの先駆けであるが、今思えば、20年近く前にこういう技術を惜しみなく投入していた「ミノルタ」には「えらいっ!」と言いたい。
<プロのテクニックが満載>
さて・・・。「隠されたテクニックはわかったが、全てを覚えて実行するなど至難の業だ!」まったくもって、おっしゃるとおりである。しかし、ご安心いただきたい。最近のデジタル一眼レフには、コンパクトデジカメ同様に優れたテクニックを網羅して余りあるシーンモードが搭載されているのである。
モードダイヤルで被写体に合った撮影モードを選択するだけで、それぞれのシーンに合った露出制御や画像処理など、デジタル一眼レフカメラをはじめて使う人にも、複雑な操作をすることなく簡単に(高度な撮影テクニックを駆使して)イメージ通りの写真撮影が可能となる優れもの。簡単「パチリ!」の全自動モードを卒業したい諸兄にはお薦めの機能であることを付記しておきたい。「侮るなかれ!シーンモード」
<シーンモードの実際>
ひとくちにシーンモードといっても、メーカーにより、あるいは機種により呼び名も違えば搭載されているシーンの数も違う。そこで、先のtips74でご紹介したα100(SONY)を例に詳解する。
◆ポートレート(人物撮影)モード
背景を美しくぼかし人物を引き立てるほか、人物の肌をやわらかく健康的に表現。通常、ポートレート撮影は、絞りを開けて背景を大きくポカし、ピントが合った人物を浮き立たせるように撮る。つまり、可能な限り絞りを(開放又は開放に近く)開けて、(一度ピントを合わせるとピントが固定される)シングルAFに、また人物の肌の色がなるべくきれいに再現できるよう(露出をやや明るめ)に設定される。※絞り開放とは、当該レンズの一番明るいF値(F3.5〜6.3ならF3.5)の意味
ポイントは次の3つ!
・人物は出来るだけ上半身いっぱいに
・被写体をできるだけ背景から遠ざける
・ズームレンズは望遠側で撮る
◆風景モード
一般的に風景写真を撮影する場合、絞りを(通常F8以上に)絞って、なるべく被写界深度(ピントが合って見える範囲)を深く(広く)するように設定するため、どうしてもシャッター速度は遅くなりがちである。日中ならまだしも、日陰や夕方など光量の少ない撮影条件によっては、手持ち撮影ではカメラぶれの危険がある。折角の高画質を生かすためにも三脚を使ってしっかりとカメラを固定し、撮影することをお勧めする。なお、色は鮮やかでコントラストが高めの写真になるように設定されることから、空の青や緑などは、特に鮮やかな色に再現されることが多い。ポイントは、人物撮影とは逆に広角側で撮るのが効果的!
◆マクロモード
花などのクローズアップ(接写)撮影に適したモードで、近づいて撮影したときに適度にピントが合い、背景のボケも得られるように設定されるため、小さな花や昆虫を迫力ある写真に仕上げられる。なお、通常のレンズでは思い通りの大きさに被写体を画面に入れられない場合、クローズアップレンズやマクロレンズを使うことにより大きく撮影することが可能となる。風景モードと同様に、絞りを絞り、なるべく被写界深度(ピントが合って見える範囲)を深く(広く)するように設定するが、被写体に近接するために被写界深度は極端に浅くなり、時にはF16やF32まで絞り込むこともまれである。そのためシャッター速度は遅くなり、手持ち撮影には無理なケースも出てこよう。風景モードと同様、折角の高画質を生かすためにも三脚を使って、しっかりとカメラを固定して撮影したい。
◆スポーツモード
動きに追従するコンティニュアスAF(動く被写体にピントを合わせ続けてくれ、特にカメラに対して前後に動くような被写体はシャープに写せる)と高速シャッターの組み合わせで、動く被写体の一瞬を鮮明に切りとるモードで、走ってくる子供など動きのある被写体を写し止めるのに適したモードである。カメラが自動的になるべく速いシャッター速度になるよう設定するため、暗い場所では被写体がブレて写ってしまうことがあるので、晴天の日中など明るい場所でなければ十分な効果は得られない。
◆夕景モード
文字通り美しい夕暮れの赤色を印象的に表現し、ドラマチックな一枚に仕上げるモード。ホワイトバランスを逆手に取ったテクニックとして、ホワイトバランスをわざと晴天用(太陽光)に設定することでドラマチックな夕景を手に入れてきたものである。設定の詳細は不明であるが、基本的には、風景モードに準じた設定ではなかろうか。夕景だけに、手持ち撮影には無理なケース。折角の高画質を生かすためにも、ここは三脚を使ってしっかりとカメラを固定して、撮影してたい。
◆夜景/夜景ポートレートモード
フラッシュ使用時は、人物も夜景もくっきり描写。フラッシュ未使用時は、暗い雰囲気を損なわずに夜景が撮れるもの。基本的には風景モードと同様の設定のため、三脚は不可欠である。フラッシュを使用時においても、背景の夜景もくっきりと描写できるよう「スローシンクロ(最初にフラッシュを発光して人物を写し、シャッター速度を遅くして背景も写るようにする機能)」というテクニックを使う。但し、シャッター速度が遅くなる(極端に遅くなる場合もある)ため、背景画像をブレなく撮影したい場合には、三脚の使用をお勧めする。
◆AUTOモード
撮影シーンに合わせて、カメラが自動で設定する、文字通りカメラまかせで簡単に撮影したいときに便利なモード。
<参考までに・・・>
コンパクトデジカメでは、ホワイトバランスを変更した場合の色合いや、露出補正の(強弱)具合などを、撮影する前に液晶モニタで(リアルタイムに映像として)プレビュー出来る。(液晶ビューファインダーと呼ばれることもある)しかし、デジタル一眼レフの場合、光学式ファインダー(ファインダーから除いた像は、映像ではなく実像である)のため撮影後でないと結果は確認出来ないので念のため。(これがコンパクトとは大きく違うところ)
<おわりに>
初心者に強い見方の、簡単「パチリ!」の全自動モード。少しステップアップして、プロのテクニックが満載された「シーンモード」いずれも、なかなかの優れもので、とりあえずこれだけでも写真撮影を十分お楽しみいただけると思う。 さらに、物足らないという方には、シーンモードがそれぞれの場面(シーン)でどのように設定されるのかを注視していただきたい。既述したように、「このモードはこういう風に設定されるのか・・・」ということが、経験を重ねてお分かりいただければ大したもの。そういう貴方は既に玄人モードに入っているのかもしれない。 初心者から玄人まで、撮影者のニーズ、力量に応じた撮影が約束されているデジタル一眼レフカメラ。あとは貴方の感性を、存分に発揮していただきたいものである。
2007年04月 write.
このページの先頭へ
ナビゲーション
トップページ
top page
はじめに
introduction
プロフィール
profile
使用機材紹介
item
不定期コラム
column
ギャラリー
gallry