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Martinの「デジカメ指南」
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tips73 スペックからみたデジタル一眼レフ選び
カメラ映像機器工業会統計によれば、2006年11月の(世界の)デジタルカメラの出荷台数は約902.7万台。それに比べフィルムカメラの出荷台数は約12万9千台と、その差はますます広がるばかり。順風満帆に映るデジタルカメラ業界だが、一昨年から昨年にかけて、老舗メーカーの相次ぐカメラ事業廃業。その一方で、新たにSONY、Panasonicといった家電大手がカメラ事業に参戦するなど、勢力図も大きく様変わりした。コンパクトデジカメの頭打ちの感から、一躍、脚光を浴びてきたデジタル一眼レフであるが、新化の勢いは止むところを知らず、入門機ですら10メガ超ピクセルといった高画素製品が当たり前の時代となってきている(汗)。
今回のtipsでは、「デジタル一眼レフを買いがたいが、カタログの見方が分からないので解説して欲しい」という読者(キャノンユーザー)からの質問にお答えする形で、EOS kissデジタルXのスペックを例に、主な項目について平易解説を試みる。機種やメーカーこそ違え、デジタル一眼レフ選びの参考となれば幸いである。
<スペックを読む>
【形 式】
・形式:ストロボ内蔵、デジタル一眼レフレックスAF・AEカメラ
文字どおり小型ストロボを本体に内蔵し、自動焦点(オートフォーカス)、自動露出の一眼レフレックスカメラの意味。
※一眼レフレックスとは、撮影用レンズとフイルムとの間に45°の反射鏡を配し、上方(一部のカメラにあっては側方)のピントグラスで実際の撮影範囲を確認出来るようにした型式のカメラ
・記録媒体:CFカード(タイプI、II準拠)、*マイクロドライブ、2GB以上のCFカード使用可
撮影データの記録には、最もポピュラーなコンパクトフラッシュカードとマイクロドライブ(1インチのハードディスク)を採用し、2GB以上の大容量カードが使用可能。
・撮像画面サイズ:22.2×14.8mm
撮像素子(この場合、CMOSセンサー)の大きさをいう。
・使用レンズ:キャノンFEレンズ群(EF-Sレンズを含む)
キャノンEFマウントを採用した純正レンズ及びレンズメーカー製レンズが使用可能。EF-Sレンズとは、手ブレ補正機構を搭載したレンズをいう。
なお、CMOSセンサーのサイズが35ミリフィルムサイズ(フルサイズ)よりも小さいため、フィルムカメラの交換レンズを装着した場合、レンズの焦点距離に1.6倍したものが実際の焦点距離となる。
【撮像素子】
・撮像素子形式:高感度・高解像度大型単板CMOSセンサー
CMOS(相補型金属酸化物半導体)を利用したイメージセンサーで、従来のCCDに比べて約1/10の電力で動作するという利点がある反面、CCDに比べて感度に劣るという欠点を持っていたが改良が進められ、デジタルカメラの新しい撮像素子として、さらなる省電力化・小型化が期待されているセンサー。
・画素数:カメラ部有効画素 約1010万画素、総画素数 約1050万画素
デジタルカメラでおなじみの画素数で、実際に撮影に用いられるのはカメラ部有効画素。このカメラ場合、1010万画素ということになる。
・アスペクト比 3:2
画像の縦と横の長さ(ピクセル数)の比率の意味。ちなみに通常のコンピュータのモニタはテレビの地上波放送、ハイビジョン以外のBS放送などと同じくアスペクト比4:3。
・カラーフィルター方式:RGB原色フィルター
赤(R)・緑(G)・青(B)という3原色のカラーフィルターの意味で、デジタルカメラでは一般的。一部の機種で「従来のものと比べて人間の眼で見た画に近い、より自然な表現が可能になる」という4色のカラーフィルタを搭載したCCDを採用したデジタルカメラも発売されている。
・ローパスフィルター:固定式、撮像素子前面に配置
カラーフィルターは格子状に配列されているため、モアレ縞が出るのがデジカメの宿命。これを出来るだけ抑えようと搭載されたのがこのローパスフィルター。
また、本機の場合、ローパスフィルターに帯電防止処理が施してあり静電気によるゴミの付着を防ぐことが可能になるほか、ローパスフィルターに「超音波振動ユニット」を搭載していることから、電源のオンおよびオフ時にフィルターに超音波振動をかけることで、付着したゴミを振るい落とすことが可能になっている。
【記録方式】
・記録フォーマット:DCF2.0
DCFはDesign fule for Camera File system といって、デジタルカメラで撮影したデータをプリンタや他のデジタルカメラなど、異なる機器間でも使用できるように決められた規格。
・画像タイプ:JPEG、RAW(12bit)
デジタルカメラの記録方式でおなじみJEPGであるが、静止画像データの圧縮方式の一つで、圧縮率はおおむね1/10〜1/100程度。写真などの自然画の圧縮には効果的といわれ、ほとんどのデジタルカメラに採用されている。
RAWは、デジカメ内部で何の処理もしてない画像データ。つまりCCDなどの撮像素子から得られた電気信号をそのまま単純にデジタル化(圧縮なし)したもの。また、RAWは、画像処理されていないのでハードディスクに保存しただけでは表示できない。そこでデジカメに付属しているRAW処理ソフトなどで一般的な画像形式に変換することになる。
なお、変換作業(属にこの処理の過程を現像と読んでいる)は、ホワイトバランスなどのパラメーター(昼光や曇天、蛍光灯など)をユーザーが任意に設定することにより、自分好みの画像データを作り出すことができる。しかも、「JPEG」のデータをフォトレタッチソフトなどで修整するのと違い、画像データ自体が劣化することもなく、ハイレベルな画像を手に入れることが出来る。
・RAW+JPEG同時記録:可能
それぞれ別ファイルで記録されるため、画像確認やWebでの使用にはJPEG画像を、パソコンでの現像/画像処理にはRAW画像を利用するなど、目的に応じて使い分けができる。
・色空間:sRGB、Adobe RGB
sRGBは国際電気標準会議 が定めた国際標準規格で、一般的なモニタ、プリンタ、デジタルカメラなどではこの規格に準拠しており、互いの機器をsRGBに則った色調整を行なう事で、入力時と出力時の色の差異を少なくする事を可能にしている。AdobeRGBはAdobe Systemsによって提唱された色空間の定義で、sRGBよりも遥かに広いRGB色再現領域を持ち、印刷や色校正などでの適合性が高く、DTPなどの分野では標準的に使用されている。
・ピクチャースタイル:スタンダード、ポートレート、風景、ニュートラル、忠実設定、モノクロ、ユーザー設定1〜3
いわゆるシーンモードとよばれるもので、あらかじめ撮影条件等が設定されている。
【ホワイトバランス(WB)】
・種類:オート、太陽光、日陰、くもり、白熱電球、白色蛍光灯、ストロボ、マニュアル
朝日や夕日の色温度はおおむね2000K、普通の太陽光線は5000〜6000Kなどというように、光線状態を色温度と呼ばれる数値(K:ケルビン)で表す。
ホワイトバランスとは、この色温度が異なる光源状態でも、白色を正確に白く映し出すように補正する機能で、光の状況を自動的に判断し、適正な色状態を再現するオートホワイトバランス、晴天時や曇天時、蛍光灯、ストロボ光などあらかじめ設定された色設定を、その状況にあったものを選択し、適正な色再現を行うプリセットホワイトバランスが搭載されている。
【ファインダー】
・方式:ペンタダハミラー使用、アイレベル式
役割や光路はほぼペンタプリズム(一眼レフレックスカメラのファインダーに用いられる5角柱形で7面体のプリズム)と同じであるが、エントリークラスのオートフォーカス一眼レフカメラ等、コストと軽量化を重視した製品では比較的よく用いられている。ちなみにアイレベル式とは、多くのカメラと同様にカメラを目の位置構えるスタイル。
・視野率:上下左右とも約95%
視野率とは、レンズがとらえる画像のうち、どの程度がファインダーの視野内に入るかを表す割合のことで、主に一眼レフの光学ファインダーの性能を示す指標として使われている。
・倍率:約0.8倍
肉眼で見える被写体の大きさに対する、ファインダー像の被写体の像の大きさの比率のことで、ファインダーに写る被写体の像が、肉眼で見るのと同じ大きさであれば等倍。それよりも数字が小さい場合は、肉眼で見るよりもファインダー像のほうが小さいことを意味する。
・アイポイント:約21mm
ファインダーから目を離した場合のファンダーの見易さの指標で、アイポイントが長い機種ほどファインダーから目を離しても像を見やすいことになる。
・視度調整範囲:-3.0〜+1.0dpt
ファインダー接眼部右側のつまみで、視力に合わせて調整可能。プラス側は老眼または遠視向き、マイナス側は近視向き。ちなみに乱視は補正できない。
・フォーカシングスクリーン:固定式、プレシジョンマット
フォーカシングスクリーンとは、レンズを取り外した時に見える、ミラーボックスの上側に取り付けられている「すりガラス状」のスクリーン。オートフォーカスを使わずにマニュアルでピントを合わす場合には、このスクリーンを見ながらピントを調節することになる。マットスクリーンは、一般撮影はもちろん、接写や望遠レンズを使用した時に効果的。
・被写界深度確認:絞込みボタンによる
被写界深度とは、カメラで被写体にピントを合わせたときに、被写体前後の範囲の中でピントが合っている範囲のこと。ほとんどの一眼レフカメラは開放測光のため、そのままでは被写界深度が確認できないことから、いわゆるプレビューボタンを押すことによってピントが合っている範囲を知ることができる。
【オートフォーカス】
・測距点:9点測距
対角位置に測距点を配置した9点測距で、被写体がファインダーの真ん中になくてもフォーカス可能というもの。
・フォーカスモード:ワンショットAF、AIサーボAF、AIフォーカスAF、手動
ワンショットAF:一度ピントを合わせるとAFがロックされ、ピントが固定される(止まっている被写体など)
AIサーボAF:中央のAFフレームで被写体を捉え、シャッターボタンを半押しの状態に保つと、被写体の動きに追従しピントを合わせ続ける(動いている被写体の撮影など)
AIフォーカスAF:ワンショットAFで合焦した後、被写体が移動を始めると、その移動をカメラが感知して自動的にAIサーボAFに切り替わる(動きの予測しにくい被写体など)
【露出制御】
・測光方式:35分割TTL開放測光
評価測光:画面内の35分割された測光領域を評価演算し、最適な露出を決定する方式(一般的撮影向き)
部分測光:ファインダー画面中央部の約9%の測光エリアを中心に測光(逆光時に被写体のみを測光したい時などに利用)
中央部重点平均測光:中央部に重みを持たせ画面全体を測光。(露出補正の効果を反映させやすい測光方式といわれている)
・露出制御方式:プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出他
プログラムAE:被写体の明るさに応じて、シャッター速度と絞り数値を自動的にセット(全自動モードと同じように気軽に撮影)
シャッター優先AE:速いシャッター速度で被写体の動きを止めたり、遅いシャッター速度で流動感を演出(多彩な表現に使用)
絞り優先AE:背景のボケ味を活かしたポートレートや奥行感のある風景写真向き(ピントの合う範囲をコントロールして、さまざまな写真を演出)
マニュアル露出:シャッター速度も絞り数値も、全て自分で決めるモード(いわゆる玄人モード)
自動深度優先AE:1回のピント合わせで9点のAFフレームが捉えた被写体にピントを合わせるようにするもの(手前から奥までを鮮明に写すことが可能)
・ISO感度:ISO100〜1600相当
ISO感度はどのくらい光に感じるかということを表すもので、数値が大きい方が光に感じやすくなる。感度を上げることで同じ条件でもシャッター速度を早くして撮影できることから、手プレを防ぐ効果もある。室内や夕暮れ時などの光量が少ないときには感度を上げるのは有効な方法。反面、ISO400以上の感度になるとノイズが発生して画面がザラついてくるため、むやみに感度を上げればいいというものでもない。
・露出補正:1/3、1/2ステップ+-2段
逆光での人物撮影や紅葉風景などは画面内の明暗差が大きいために、カメラ任せの露出では暗すぎたり明るすぎたりと、イメージ通りの写真にならないことも多い。
そこで、露出補正機能を利用して+0.5(-0.5)EV、+1.0(-1.0)EV...というように、プラス(オーバー)側あるいはマイナス(アンダー)側に動かしてみてシャッターボタンを押す。あとは、逐次液晶モニターで確認しながら、露出を変えて撮影すればいい。(1/2は0.5刻み、1/3は約0.3刻みの意味)
・AEロック
絞りとシャッタースピードの設定を強制的に固定すること。露出はカメラが測ることで自動的に設定されるが、多くのカメラはファインダーの中央部で測光しているため、カメラの向きを変えれば露出も変わってしまう。
そこで、AEロックを使えば露出が固定された状態でフレーミングを自由に変えることが可能となる。この場合、AEロックボタンを押し続けている間、露出は固定されることになる。
【シャッター】
・シャッター速度:30秒〜1/4000、バルブ、X=1/200
被写体に応じて自動若しくは任意(シャッター速度優先の場合)に設定可能。バルブとは(例えば1時間など)長時間にわたりシャッターを空けている時間を制御できるモード。ちなみにX=1/200とは、フラッシュ使用時には自動的に1/200秒に設定される。
<総評として・・・>
エントリーユーザー(初心者)だからというわけではないが、コンパクトデジカメには、もはや無くてはならない「手ぶれ補正」が搭載されていないのは、少々辛い。
一部レンズに手ぶれ補正機能が搭載されたものも発売されてはいるが、(当たり前の話)そのレンズでしか使えない。しかも高額である。
ISO感度を上げれば多少の「手ブレ対策」にもなろうが、いかんせん画質が犠牲になるのは否めない事実である。
選択肢として、SONYα100、PENTAX K10DやK100Dなどには、本体に手ブレ補正機能が搭載されていて、全てのレンズで手ブレ補正の恩恵にあずかることが出来る。
フィルムカメラユーザーで、既に何本か交換レンズを所有している場合を除き、初めてデジタル一眼レフを手にするユーザーとしては、メーカーにこだわる必要も無かろう。
いずれにせよ、レンズも含め総合的に判断してお選びいただくことをお奨めする。
<最後に・・・>
写りは「デジタル一眼」文句なし。しかも、気軽で失敗も少ない全自動モードも強い味方。
レンズもチョイス次第で、安くて、軽くて、高倍率なズームレンズも多い。
保存ファイル形式は、こだわりのRAW形式やJEPG形式(圧縮ファイル)などがあり、用途によってセレクトできる。
初心者から玄人まで、レベルに応じて、こだわりのテクニックが駆使できる。
デジタル一眼レフで撮影した画像なら、A3サイズに大伸ばしも楽々!
あとはあなた次第! 思う存分デジタル一眼レフの世界を堪能していただきたいものである。
2007年02月 write.
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