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Martinの「デジカメ指南」
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tips65 モニターキャリブレーション(正確な色を求めて)
「プリンタで出力される色調や彩度を、液晶モニタで再現」。筆者のみならず、静止画、とりわけ写真編集を行うものにとっては永遠の課題。趣味の延長ながらも現状には満足できず、遂に手にすることとなったモニタキャリブレーションツール。果たして、その実力の程は・・・。
<誰しもが通る道>
Webサイトを見渡してみると、一般的に色温度は5000〜6500K(ケルビン)、ガンマは2.2(Windouwsの場合)と書かれている。なるほど所有するモニタに添付プロファイルも、色温度6500K、ガンマ2.2でであることからもうなずける。しかし人間の目ほどいい加減なものはなく、試行錯誤で調整を繰り返したのちに一通り満足できたとしても、時が経てば「本当に正しい色が再現されているのか?」と疑いたくなるもの。プリンタで出力した色調や再度が、モニターに映し出されるそれと、大きく違っていればなおさらである。筆者としても例外ではない。「あの時あれだけモニタとプリンタ出力のイメージが合うよう調整したはずなのに・・・」
<おさらい>
モニターで色温度を正しく出すにはどうしたらよいか(しかも安価で)
1.色再現性が高く、色温度設定ができ、カラープロファイルが添付されている(高価な)モニター買う
2.AdobeGamma(PhotoShopに付属)というツールを使ってカラープロファイルを作成する
3.モニタキャリブレーションツールを買ってカラープロファイルを作成するのである。
先ず1番目の方法については、tips61 色再現性を重視、高画質液晶を求めて!(静止画のスペシャリスト)をご覧いただきたい。次に2番目は、定番画像処理ソフトPhotoshopに付属するAdobeGamma(アドビガンマ)とよばれるツールを使った方法であるが、「試行錯誤で調整して使ってみたものの・・・」である。最後に登場するのがモニタキャリブレーションツールである。
tips61でも触れたように・・・
(前略)さらに正確な色を求めたい人は「キャリブレータ」(ディスプレイにいろんな色を表示させてその色を専用の機器で計測し、それに合わせてディスプレイのプロファイルを作成する装置)を使うことになるが、これが半端な価格ではなく液晶モニタより高額。また、簡易版も存在はするものの、一般ユーザーでこれが必要かどうかは、いささか疑問である。(後略)
(高額であるがゆえに)なかなか踏み込みにくい領域ではあるが、最後の手段として選ぶ人も多いと聞く。しかし、Web広しと言えども具体的に書かれているサイトは少なく、一体どれがいいのか分からないのが実情ではなかろうか。確かにここに来て、モニタキャリブレーションツールの価格がこなれてきており、なんと1万円台の製品まで登場しているのである。「ここは進んで人柱に・・・」!...へ(__へ)☆\(^^;)
たまたま見つけたWebサイト(ナショナル・フォート)で、数あるキャリブレーションツールの中から(最終的にプリンタプロファイル作成まで視野に入れて)比較手値ごろなColorVision社のSpyder2PROにターゲットを絞り、プロの目から見たアドバイスを求めてみた。
Q.1 Spyder2PRO(2006)と、Spyder2PROの違いは?
センサー(ハード)はまったく同じだが、ソフトウエアが、PRO(2006)の方には、最新版が付属。ただし、これはメーカーサイトにてダウンロードが可能なのでアップグレード可能。
Q.2 Spyder2 suiteと、Spyder2PROの違いは?
・ガンマ値、色温度のカスタム設定
・マルチモニター対応
・曲線ツールや情報ツールでなどでプロファイルの状態を検証 などがあげられるが、パーソナルユーザーでは実際使わない人も多く、Spyder2suiteでも充分。(センサーもデフォルトで作ったプロファイルも同じ)
折りしも新バージョンの切り替わり時期にあたり、待つこと約2ヵ月、満を持しての購入と相成った。
<Spyder2PROの実力>
ColorVision社のSpyder2シリーズ(Mac/Win対応、LCD/CRT対応)には、色温度設定6500K・モニタガンマ2.2固定のexpress、色温度設定5000/6500K・ガンマモニタ1.8/2.2のsuite、色温度設定4000-13000K・ガンマモニタ0.5〜3.0のほか、ガンマ曲線ターゲット設定、モニタRGBカラーキャリブレーション、マルチモニタ、環境光反映、プロジェクターキャリブレーションなどに対応したPROがある。(価格等詳細についてはこちらをごらんいただきたい)
筆者としては、最終目的が正確なプリンタプロファイルの作成にあり、最終的にはプロフェッショナルなモニタキャリブレーションツール「Spyder2PRO」と、高品位プリンタプロファイル作成ツール「PrintFix PRO」が同梱されている「PrintFix PROsuite」を選択することとした。
<キャリブレーションの実際>
◆先ずはソフトウェのインストール
製品に添付されているCDをCD-ROMドライブに挿入し、インストールボタンをクリックしてスタート。あとは、メッセージに従い進めていくだけで問題なく終了する。
◆ソフトウェアを実行する前に
・モニタは電源投入後30分以上経過させ十分に温めた状態にしておく
・ウィルスソフトやスクリーンセイバーを無効にする
・モニタの設定を工場出荷時の状態に戻す
(筆者の場合、様々な調整機能が利用できるよう予めCustumにセット)
・AdobeGammaまたはその他のモニタキャリブレーションソフトは削除しておく(マニュアルに詳細に記述)
・Spyder2センサーをPC本体と接続する(画面へのセットは追って指示あり)
◆キャリブレーションのスタート
・Spyder2アプリケーションを起動する
・ユーザー登録画面に続いて「ようこそ」「お使いになる前に」に続き、「ディスプレイタイプの選択」でモニタの種類を(LCD/CRT/プロジェクター)選択する
「ようこそ」画面イメージ
「ディスプレイタイプの選択」画面イメージ
・「現在の設定」に続いて「各種ターゲットの設定」が表示されるのでプリセットされた設定値(一般的にはガンマ2.2-色温度6500K)を選択する
・「環境補助光の選択」では、通常は「オフ」を、「詳細輝度モード」では「目視」を選択する
・「現在の設定」で内容を確認した後に「これらの設定で続行する」にチェックを入れ次へ進む
「現在の設定」画面イメージ
ここからが具体的な作業に移ることになる。
・LCD/CRTの白輝度と黒輝度の設定
使用モニタに搭載されている調整機能(明るさ/コントラスト/バックライト)にそれぞれチェックを入れる。
(筆者の場合は、明るさとコントラストを選択)
「白輝度と黒輝度設定」画面イメージ
・カラーコントロールの識別設定(RGBスライダ/ケルビンスライダ/ケルビンプリセット)
ここでは使用モニタに搭載されている調整機能(RGBスライダ/ケルビンスライダ/ケルビンプリセット)を選択するのであるが、LCDモニタでの「RGBスライダ」の使用について、次のような注意書きがある。
モニタ調整側に似たような項目で「ゲイン調整」と「カットオフ調整」の2種類がある場合で、いくつかのLCDモニタで正しい結果が得られない場合がある。その場合はチェックをオフにすることが推奨されている。
筆者の場合、調整に入る前にCustumに設定しておいたためにケルビンスライダが利用可能であるのでチェック。さらにRGBスライダに似たような「ゲイン調整」があるので、一度はチェックして調整を試みたがこれがなかなかうまくいかない。あくまでも目視であるため、それこそ何が正しいのか分からなくなるのである。
注意書きに「ゲイン調整」の記述もあることから、ここはケルビンスライダのみのチェックで続行することとし、LCDモニタ側のケルビンスライダで6500Kに設定した。
(NANAOのモニタ場合、スクリーンマネージャーを別窓で開いておくと調整に便利)
「カラーコントロール識別設定」画面イメージ
※RGBスライダ 文字通りRGBを個別にスライダを使って調整するもの。必要なレベルが示されているので、不足している場合は増加させ、過大な場合は減少させる
※ケルビンスライダ 色温度を0から無段階でスライドさせて調整するもの。この場合は6500Kに合わせるだけで完了する
※ケルビンプリセット 色温度を無段階ではなく、5000K、6500Kなどと予め限定された設定方式のモニタがこれにあたる
・センサーセットの指示
ここでようやく、センサーの登場である。画面表示されている位置に、センサーをスクリーンの上端から吊り下げて完了。後は「続行」ボタンを押すとキャリブレーションが始まる。
「センサーセット完了後」
画面イメージ
「キャリブレーション実行中」 画面イメージ
・前後
キャリブレーションが終了し、キャリブレート前とキャリブレート後の状態が表示できる。(スッキリとあか抜けした)カラーバランスの取れた画面に見とれることしきり・・・。
「キャリブレート後」 画面イメージ
・重要
「キャリブレーションが完了したので、ディスプレイの全てのコントロールを現在の位置のまま動かさないでください」とのメッセージ。(明るさコントロール、コントラストコントロール、バックライトコントロール、RGBコントロール)
続いて「ディスプレイのガンマと白色点が調整されました」、「同じような機能を実行するAdobe Gammmaなどのアプリケーションは使用しないでください」、「ディスプレイの色と輝度は時間とともに変化しますので、定期的にキャリブレーションを行って一定の状態に保ってください」、「これで完了です。ディスプレイがキャリブレートされ、プロファイルが作成されて、最適な状態で使用できるようになりました」。終了にチェックを入れれば作業工程は全て終了である。
「重要」 画面イメージ
<おわりに>
tips65にて公開のため速攻のリポートと相成ったが、キャリブレートされた画面がことのほか美しいのもさることながら「心の中のモヤモヤまでスッキリとキャリブレートしてもらった」というのが率直な感想である。...へ(__へ)☆\(^^;)
そういう意味で、今回の投資はPC環境改善のみならず、精神的にも絶大な効果をもたらしてくれたたことを付記しておきたい。また、今回機材購入にあたりいろいろとご教示いただいた、プロ用写真・映像機材総合商社「株式会社ナショナル・フォート」の田邉氏に厚く御礼申し上げたい。モニタキャリブレーションツールに限っていえば、1.5〜5万円前後と比較的手に入れやすい環境が整ってきたことは誠に喜ばしい限りであり、モニタキャリブレーションにお悩みの方やこだわりのモニタキャリブレーションを体験しようとされる方への一助となれば幸いである。なお、次回も引き続き、ノートPCも含めた複数台のLCDキャリブレーションテストの結果をお伝えしていく予定である。(乞うご期待!)
2006年08月 write.
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