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Martinの「デジカメ指南」
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tips60 デジタルなのにアナログ?(液晶ディスプレイの思わぬ落とし穴)
「ボタンをポン!の簡単ダイレクトプリント!」どこかのCMではないが、デジカメで撮影して、自宅パソコンで編集プリントというユーザーが増加しているという。デジタル編集に欠かせないのがパソコン。そのパソコンにも時代の波が押し寄せ、アナログモニタに替わって登場した液晶モニタも既に第三世代の大画面の時代。
このように、プライベート(自宅で簡単編集、簡単プリント)での環境は整いつつあるものの、編集に大きく左右されるであろう液晶モニタは、依然、アナログ接続のまま編集してはいまいか?筆者の実例を基に、この素朴な疑問に迫ってみた!
<その前におさらいを・・・>
一眼レフもアナログ(銀塩)からデジタルへ大きくシフトした今、デジタルカメラとりわけデジタル一眼レフで撮影し、しかもRAW現像を自宅で・・・というこだわりユーザーは確実に増えている。また、RAW現像用のソフトウェアもカメラに同梱されるメーカー製のものだけではなく、PhotoShopCS2などに代表されるように、フォトレタッチソフトの多くがカメラRAWに対応してきている。
他方、パソコン用のモニタも大きく進化し、液晶モニタの爆発的な普及の陰でブラウン管型モニタはほとんど見られなくなった。現在、液晶モニタの主流は、17〜19インチから20インチ以上の大画面へと移ってきており、あれほど高嶺の花だった17インチ液晶モニタも、がわずか3万円程で手に入る時代となったのである。
<当たり前のはずが・・・>
「パソコン自体がデジタルなんだから、液晶モニタでデジタル表示されるのは当たり前」これまで何の疑いもなく眺めてきた液晶モニタであるが、そこに大きな落とし穴があったのである。パソコンはいわばデジタルの象徴。何の疑いもなく、標準添付されている(アナログ)ケーブルをパソコンに接続すれば、美しいデジタル画像が見られるという錯覚に陥っていたというのが正直なところではあるまいか。
液晶モニタが登場するまでは、アナログモニタ(CRT:陰極線管と呼ばれるブラウン管による表示方式)が主流で、パソコンでデジタル処理された情報をビデオボードを通じてアナログデータに変換してモニタに表示される。 それが、液晶モニタの出現とともに、ビデオボード自体も従来のアナログ接続用(D-Sub)のコネクタ(端子)に加え、デジタル出力用(DVI-DやDVI-I)のコネクタが搭載されているものも登場してきた。
しかし、パソコンメーカーにしてみれば、新製品ラッシュの中でコスト縮減と、液晶モニタの普及の度合いを見ながらデジタル対応(アナログとデジタルの両方に対応)のボードに切り替えていかざるを得ないのであろう。最新パソコンはともかくとして、少々古いパソコンにおいては、依然アナログ環境が継続しているのである。(パソコンの進化に人間がついて行けず、いまだに少々古いパソコンをお使いの諸兄は一度チェックしてみていただきたい)
※ビデオボード
画面を表示するために必要な部品。CPUでデジタル処理された情報をディスプレイ環境に合わせて調整するためのボード。画面表示の速度と品質がこの部品で決定される。
<調べてみたら・・・>
液晶モニタは、プロ&ハイアマチュア御用達のナナオ(EIZO)S170。高品質なPVA液晶パネルを採用し、17インチながらもコントラスト比が1000:1と非常に高く、黒が引き締まったメリハリのある表示が印象的なモニタである。先ずは合格!
次にビデオカードであるが、NVIDIA GeForce4 MX 420。GPUチップ(グラフィック用のCPU)自体、デジタル描画に対応しているものの、ボードメーカーによっては仕様が異なるのが通例。そこでパソコンメーカーに問い合わせたところアナログのみ対応との回答。事実パソコン裏面のコネクタを見たが、アナログのコネクタ1個だけだった。(汗)残念、不合格!
ちなみに、デジタル対応ビデオボードがパソコンに搭載されていて、液晶モニタといまだにアナログ接続している諸兄はいないとおもうが、もしそうであれば、ケーブル1本で、即、デジタル環境が実現するのである。ひょっとして、液晶モニタにデジタル接続のケーブルが貼付されているのでは。(現にナナオS170には、アナログ接続用とデジタル接続用の2本のケーブルが貼付されていた)
<アナログ表示とデジタル表示はどう違う?>
先ずは情報収集を・・・ということで、インターネットで数多くのWebサイトを検索してみた。しかし、文字のにじみの有無を取り上げているWebサイトはあるものの、肝心の色彩や彩度の違いについて明確に記載されているWebサイトはない。文字のにじみが無いということは、画像なんぞもさぞやシャープに表示されるのではあるまいか。
「あれほど悩まされていた文字のにじみがウソのように消えてなくなった」「液晶ディスプレイを持ちながら、パソコンにデジタル対応で無いビデオボードが装着されてたら、即対応ビデオカードを購入すべきだ」。「元々液晶ディスプレイはデジタル処理。ビデオカードでデジタル→アナログ変換を行い、液晶ディスプレイでアナログ→デジタル変換を行うよりも、ビデオカードから液晶ディスプレイまでデジタル一本の方が当然画質的に有利」etc.
これだけ読んだだけでも、デジタル接続をしない手はない。ただ、文字のにじみがないことは良く分かったが、肝心の画像はどうなのか。インターネット検索の結果から見て推測するに、初期の液晶モニタは、画面サイズが小さいうえに液晶モニタ自身の性能から見て、デジタル表示とアナログ表示の違いを比較するに値しないというか、確認しずらかったのかもしれない。また、現在主流の17〜19インチの液晶モニタにおけるリポートも見受けられない。究極の液晶モニタは、果たして存在するのか・・・。(これが奈落の底への第一歩になっていくとは・・・汗)
<ここは進んで人柱?に・・・>
かくなるうえはと、大急ぎで新しいビデオボードを調達して装着。動作確認ののち、デジタルケーブルで液晶モニタと接続しパソコンを起動。「な・な・なんと!」 文字のにじみは全くなく鮮明そのもの。画像もシャープに見える。
デジタル表示画面
アナログ表示画面
※目視では明確に違いが分かるものの、画像での比較にはかなり無理があるのかもしれないが・・・(あくまでもイメージとしてご覧いただきたい)
文字に限って言えば、激変という言葉がぴったりの表現!試しに、他の液晶モニタを接続してみたがその差は歴然。やはりデジタル接続は必須である!画像については、本人の主観によるところが多いと推察されるため、Web上では明確な表現がなされていないのではないか。つまり、画質アップは液晶モニタの性能に大きく依存するというのが結論であろう。(そこまで求めるかはユーザーの判断にお任せしたい)所蔵するさまざまなデジタル画像でテストしてみたが、筆者が目にした限り(所有のナナオS170)では、表示された画像はかなりシャープであると感じた。期待通りというか、これでようやくデジタル画像編集の環境が整ったと素直に喜びたい。
液晶ディスプレイをお持ちの諸兄で、パソコンにデジタル対応で無いビデオボードが装着されてたら、即、対応ビデオカードを購入して接続されることをお薦めする。(今流行の3Dゲームをしないのであれば、わずか数千円でボードが入手可能)
<残された宿題・・・>
最も知りたい画像の再現性について、同じモニタを並べてテストすることが出来ないので決定的なことはいえないものの、PhotoShopCS2で画像を当倍表示した限りでの比較(あくまでもアナログで表示したものを頭に記憶しておいてのアナログ的比較だが)においては、シャープさは際立ち、低解像度の画像などは、かなりアラが見られた。ちょうど高感度のフィルムを使って粒子が荒れたようなそんな感じかと。これ以上を求めるのならば、さらに高解像度で画像編集に適した液晶モニタへの、グレードアップしか道はないのかもしれない。
なお、これまで指摘してきた「色調」「彩度」というのは、モニタ自身の再現能力であり、一定レベルの液晶モニタであれば、俗に言うカラーマネジメントで調整できるものだと思うので、あえて深く考えなくていいのではなかろうか。(筆者としては)要は、プリンタで出力される色調や彩度が液晶モニタで再現(その逆もあるが)されればいいのである。
<おわりに>
デジタル接続ならば無駄なアナログ変換が必要ないので、当然画質的に有利であること。画質は液晶モニタ自体の性能で決まり、ビデオカードを変えてもあまり変わらないといわれていること。もし、パソコンにデジタル対応で無いビデオボードが装着されてたら、少ない投資でデジタル接続が可能になるので、ぜひ実現してその効果を体感していただきたい。デジタル画像編集の環境を整えて、快適デジタルカメラライフを貴方に!
2006年02月 write.
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