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Martinの「デジカメ指南」
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tips58 魅力ある11倍ズームの世界
デジタル一眼レフのボディーは買ったものの「交換レンズは何を選べば良いのか?」とお悩みの諸兄も多いはず。デジタル時代に突入して、これまでフィルムカメラでは想像もつかなかった高倍率のズームレンズも続々登場してきている。限りある予算の中で「少しでも安くいいもの(レンズを)求めたい」そう願う諸兄も少なくない。そこで独断と偏見ながら、魅力の交換レンズをご紹介したい。レンズ選びの参考となれば幸いである。
<昔々その昔・・・>
一眼レフカメラが登場した頃は、50ミリの標準レンズ(常用レンズ)付きであった。そして2本目の交換レンズを買うなら「先ずは望遠レンズを1本。次に予算があれば広角レンズ」と教えられたものである。その後、ISO400(当時はASA)のフィルムの登場とともにズームレンズが主流を成いくわけであるが、今振り返れば「広角レンズ」よりも「望遠レンズ」を好まれる傾向にあったといえる。
時代は移り、標準ズームと呼ばれるレンズが主流をなし、単体のレンズよりもズームレンズが重宝されるようになってきた。しかも、28ミリ(広角)から200ミリ(望遠)までの高倍率ズームレンズが登場したのである。
これ1本あればオールマイティ。ほとんどの用途で平均点以上の写真は撮れるものの、レンズの開放F値が暗いため「カメラブレ」しやすいこと。高倍率がゆえに、広角側では「タル型」、望遠側では「糸巻き型」の歪曲収差が現れることや、絞り開放で目立つは周辺光量落ちなど、の欠点があるのも事実である。
<交換レンズ・・・その前に>
フィルム一眼レフカメラの場合は、使用するフィルムでレンズが決まってくるといっても過言ではない。つまり、写真の大敵である「ブレ」と「ボケ」を克服するには、おのずと対策が必要になってくる。例えば、大伸ばしに耐えられるような低感度(ISO50など)フィルムを使用する場合には、大口径の明るいレンズ(いわゆる高いレンズ)が必要になり、大きく伸ばしても四ツ切(デジタルならA4程度)くらいまでなら、ISO感度の高いフィルム(ISO400など)を使えば、「ブレ」と「ボケ」にはある程度対処できる。それに比べてデジタルの場合、ISOは自動(ISO100〜400あるいはそれ以上の範囲)でやってくれるので、フィルムカメラほど神経質になる必要はないが、写真の大敵である「ブレ」と「ボケ」には、細心の注意を払いたい。
<作品づくりならズバリ!これ!に>
「超広角ズーム」の次には、ズバリ「高倍率ズーム」を選びたい!なにしろ一本で、広角から望遠までの幅広い撮影領域をカバーし、重量も400グラム前後とコンパクト。おまけに、これだけの高倍率ズームレンズが数万円で手に入るとなれば、注目しない手はない。また、レンズ交換の際のゴミやホコリ混入のリスクに、なるべくレンズ交換はしたくないと思っている諸兄にぴったり。あとは、レンズの特性(歪曲収差や周辺光量落ちなど無いに越したことはないが)とうまく付き合っていくだけである。
<そこで登場!デジタル専用レンズ>
デジタル専用レンズは、純正品を問わなければ、軽くて安価でしかも超広角から望遠までのレンズが揃っている。そこで高倍率ズームのお勧めは、ズバリ18〜200ミリ!(35ミリ換算で27〜300ミリ相当)カメラメーカーだけでなく、レンズメーカー2社からも同焦点距離のズームレンズが発売されるなど、まさに激戦の焦点距離だといえる。なお、デジタル専用レンズはフィルム一眼レフカメラでは使用出来ないので念のため。
<高倍率ズームレンズ、実体験リポート>
今回、筆者がテストしたのは、コニカミノルタの「AF DTズーム18-200ミリ F3.5-6.3(D)」。(35mmフィルム換算で超広角27から300ミリ相当)
実のところ、デジタル一眼レフカメラのために新たに設計・開発されたレンズであるだけに、高倍率ズームの欠点がいかに克服されているか、密かに期待していたのである。このレンズのウリは「35mmフィルム換算で広角27mmから300mm相当までの幅広い撮影領域をカバーした、デジタル一眼レフ専用の11.1倍高倍率ズームレンズ。非球面レンズ3枚、AD(異常分散)ガラス2枚を使用し、フレアを軽減し、ズーム全域にわたり諸収差を良好に補正した高画質な画像を実現。インターナルフォーカシング方式(レンズが前に繰り出さない方式)で迅速なAFが可能。また、円形絞りにより、美しいボケ味を演出する」というもの。
18mm、1/125秒・絞りf8
135mm、1/400秒・絞りf8
実際に撮影してみると・・・ 前回リポートした超広角ズーム「AF DT11-18ミリ F4.5-5.6(D)」と同様、フレアは非常に少なく画面に太陽が入ったとしてもゴーストはまったく気にならない。また、広角側でよく見られる画面周辺のにじみや周辺の画像の流れも、皆無に等しいといっても過言ではない。もちろん絞りをF8まで絞れば、画質はさらに完璧である。
一方、望遠側であるが、開放絞りのF6.3でどれだけのボケが期待できるか多少不安があったものの、円形絞り採用による美しいボケ味も忠実に再現され、画面周辺の光量不足もなく画像もシャープである。高価格なアポテレズームで撮影したものと比較するなら違いも分かるであろうが、正直、この価格でこの映りには感動した。いまだ、それほど多くは撮影していないものの、撮影済みの画像を見る限り「すごいズームレンズだ」と実感せざるを得ない結果となった。これ1本で殆どの焦点距離(例えば35ミリ換算でいうなら、28mm・35mm・50mm・85mm・100mm・135mm・200mm・300mmなど)をカバーしている事を考えると、非常にお買い得(便利)だといえる。
ゴーストも殆ど気にならない!
18mm、1/250秒・絞りf8
ただし、ズームレンズが高倍率であることから、スマートでコンパクトな18mmの広角端と200mmの望遠端では、レンズの長さがほぼ2倍に伸びること。レンズのF値が3.5〜6.3と暗いために、太陽下でははさほど感じなかったカメラぶれであるが、朝夕や曇天下など撮影条件が悪くなれば手ブレの危険は否めない。(レンズ自体が小型軽量のため高価な重くて明るいレンズに比べれば、多少なりとも手ブレの危険からは回避される)
幸いにも、α7デジタルやαSweetデジタルには、カメラ自体にブレ防止機能がついているため危険性はかなり軽減されるが、風景撮影の定番フィルターである偏向フィルターを装着して、悪条件下(木漏れ日や紅葉が生い茂るお寺の境内など)試写した結果、画像のうち約2割(ほとんどが望遠端での撮影)は、手ブレや被写体ブレする結果となった。
小型軽量で気軽に使えるこのレンズ。メリットを生かすためにも三脚の使用は避けたいところであろうが、日中の明るい状況ならまだしも、朝夕や木陰などでの撮影には、見た目以上にシャッター速度が遅くなり、手ブレの危険性はさらに高まる。こうした条件下では、ISOを高感度に(例えばISO400など)セットするなど、積極的な手ブレ対策を講じられることをお勧めする。特に、風景撮影やマクロ撮影などのように絞りをF8やF16などに絞り込んだり、カメラアングルを固定した撮影などにおいては、三脚使用を前提に撮影されたい。(後で嘆かないためにも)
もうひとつ気になったことは、カメラマウント(カメラに装着される接合部)の部分が従来の金属製から強化プラスチック製になっていること。コストダウンのための苦渋の措置ではあろうが、いささか不安を感じなくもない。低コスト、しかも小型軽量、そこそこ高画質とくれば、この点を割り引いたとしても余りある魅力の11倍ズームレンズ。大切に扱いたいものである。なお、同領域ズームを発売するSigmaでは、従来の金属製のマウントを採用している。
18mm、1/40秒・絞りf11
200mm、1/80秒・絞り開放
「俺はコニカミノルタユーザーではない!」 と言う声が聞こえてきそうであるが、ご安心あれ(汗)レンズメーカーのTamronから(本機と一卵性双生児の)SP AF18-200ミリ F3.5-6.3 DiII、Sigmaから18-200mm F3.5-6.3 DC が発売されており、NikonやCanon、Pentaxユーザーもご利益に預かれるので念のため。
<まとめ>
先頃、撮影に出掛けた「香落渓(名張市〜曽爾村)」でのエピソード。当地は、青蓮寺川沿いの断崖絶壁を見上げる紅葉の名所であり、被写体との距離が取りづらいため、4本のズームレンズ(DT11〜18mmF4.5-5.6(D)、17〜35mmF3.5G、28〜70mmF2.8G、70〜200mmF2.8SSM)をとっかえひっかえ撮影強いられることとなった。(アングル優先の撮影方針に、レンズ交換が面倒という間もなく淡々と機械的に作業をこなしていた)幸い、車での移動のためそれほど負担にはならなかったが、カメラバッグに入れての移動を考えると、言葉も出ない。
最後に・・・ 広角側での「タル型」、望遠側での「糸巻き型」の歪曲収差について、ひとこと!多分に漏れずこのレンズにおいても僅かながらも歪曲収差は見受けられる。(もし、これが不満というのであれば、ズームレンズを使わないか、最高レベル(価格も含め)のレンズをお求めいただかなければならないであろう)ご覧いただいたように歪曲収差は、作品づくりにはなんら支障はないレベルであり、コストパフォーマンスに優れたレンズであることを付け加えておきたい。人気のため、品薄なのが気にかかるところではあるが・・・...へ(__へ)☆\(^^;)
カメラ(機材)は足し算とはよく言ったもの。作品作りに手間は必要だが、本当にありがたいレンズだと痛感している。
2005年12月 write.
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