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Martinの「デジカメ指南」
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tips49 魔法のRAWデータ3(本当に魔法のデータ?)
RAWデータと付き合い始めて久しいが、ここに来て「本当にRAWデータは万能なのか?」疑問に思えてきた。
その反面、これまで撮影した結果はすべて「結果オーライ」で、ここまで何の問題もなく作品作りが出来ている。ここは一度、原点に帰り、RAWデータが「本当に魔法のデータなのか」に迫ってみたい。
<RAWデータに惹(ひ)かれて>
逆光での撮影は、被写体が暗く(アンダーに)写ってしまうために、プラス側の露出補正をするのが一般的。もちろん、最適な露出補正量を撮影時に決定できるなら、それに越したことはない。しかし、いつもそうであるとは限らない場合もある。「逆光だけどシャッターチャンス!」こんな時、RAWでの撮影なら迷わずシャッターチャンスを優先したい!その瞬間はもう2度と来ないのであるから・・・。
何を隠そう筆者も、この“鮮烈な言葉”に惹かれてRAWデータと関わる事になった一人である。確かに風景写真など、突然出くわした光景に「ちょっと待って!」はない。例えば光が織りなす一瞬の光景を前に思わずシャッターを切ったものの、「少し暗すぎた。少し明るく補正すればよかった」という銀塩時代の苦い経験も少なくない。
RAWで撮影することで撮影に専念でき、しかも後からホワイトバランスや露出、画質などを調整することで劣化なしにそれなりの画像を手することが出来るという、銀塩カメラ時代には到底考えることすらできなかった写真撮影の常識を根底から覆すような「RAWデータ」。これが本物なら、使わない手はない!
<RAWは、どこまで万能なのか>
今回、ある風景撮影会に参加する機会に恵まれ、早速この疑問を探ることにした。美ヶ原を舞台にしたドラマチックな冬の風景。見渡す限りの銀世界を前に(どちらを向いても絵になる光景に)、シャッター音はとどまるところを知らない。しかし、マイナス15度という厳寒の地ゆえに、かじかむ(凍りつく)手を奮い立たせながらの撮影には厳しいものがあり、強風・ブリザードかと思えば、突如出現する青空や差し込む太陽光など刻々と変化する山の天候をまえに、正直、余裕はなかったことを付け加えておきたい。
α7デジタル
AFアポテレズーム70-200mmF2.8G(D)SSM
・記録モードは、RAW+JEPG(RAWのみであると撮影後にモニターできないため)
・ISOは、最低感度の100に固定
・ホワイトバランスは、晴天(銀塩フィルムで言うデイライト)
・輝度の激しい悪条件ながら、あえて測光方式はスポットを選択
・原則、露出補正は行わず
・あとは感動の光景にシャッターを押すのみ!
帰宅後、はやる気持ちを抑えて現像処理を開始。驚いたことに、強烈な「逆光」にも黒くつぶれることなく記録されており、結果としてホワイトバランスも変更する必要もなかった。(JEPGとRAWの両方の画像を比べてみても、ほとんど変わらなかったことは以外だった)また、ほとんどがストレート(そのまま無加工の画像)でも十分通用する画像ばかりであり、露出補正やヒストグラム、トーンカーブなどを微調整すればさらに良くなるという結果となったことは言うまでもない。強風・厳寒下での撮影であるから、大型三脚を常用したにもかかわらずピンボケやブレは、いた仕方ないと割り切っても余りある結果に、思わず「万歳!」である。
<RAWデータと言えども・・・>
インターネットを使い、RAWデータに関する記述を拾ってみると・・・
「RAWデータと言えども、被写体に強い光線が当たっていたり、コントラストが高い場合には、たとえ適正露出であっても白く飛んでしまう部分が出てしまいます。しかし、アンダーで撮影していれば、現像時に露出補正をすることでハイライト部分のディティールを飛ばさずに済みます。撮影時に露出を決定するのが難しく、シャッターチャンスを逃す、もしくはその場の雰囲気を害する場合には、アンダーで撮っておけば、現像時に調整可能ですが、飛ばしてしまったらアウトです。以上の様な理由から、「RAW はアンダーに撮れ」という諺?が出てきているのでしょう。その他の理由として色再現の低下を緩和できるということもあります。」という記述が目を引く。
確かに今回の風景撮影会では、白銀の世界ゆえに露出はアンダーにならざるを得ず、結果として「うまくいったにすぎない」のかもしれないが、平行して撮影した銀塩フィルムでここまで再現することは難しかったことを考えると、結果として(一眼レフデジカメに)RAWデータは素晴らしいと言わざるを得ない。
<自分なりに整理してみると・・・>
RAWに関する疑問点をカメラメーカーにぶつけてみた。メーカー曰く「ホワイトバランスのほか、色調、彩度、コントラスト、シャープネスなどは、後から現像時に設定できる」つまり、撮影時には無視してもいい。しかし、それ以外の「露出や測光方式については撮影時の設定に依存する」ため、例えば不適正な露出で撮影したものを補正することは難しいが、多少アンダー(露出不測)ぎみならば、現像時に何とかカバーすることも不可能ではないということになる。最低限ヒストグラムで、撮影後の画像チェックを心がけていれば大失敗には至らないであろう。
<最後に>
作品を作るにあたり、常に適正露出で撮影することに越したことはないが、たっぷりと時間が取れるときはともかくも、今回のケースのように、突然訪れるシャッターチャンスなどには(あくまでも自己責任とお断りしたうえで)次のとおり対処されるのも一つの方法ではなかろうか。(但し、Webでのみ使用する画像の場合はJEPGで十分である)
・記録モードは、RAW+JEPG(RAWのみであると撮影後にモニターできないため)
・ISOは、最低感度の100に固定(感度が高くなるにつれノイズが増えるため)
※手ぶれカメラぶれが伴う場合は、三脚の使用は必須
・ホワイトバランスは、晴天(銀塩フィルムで言うデイライトタイプに習って)
・測光方式はケースバイケース(多分割測光なら失敗は少ないかも)
・原則、露出補正は必要な場合のみ(銀塩カメラほど神経質になる必要もないかと)
・あとは感動の光景にシャッターを押すのみ!
但し、現像処理については個々に好みが分かれるところであり、調製にはそれぞれ工夫が必要かもしれないが、筆者の場合には、これまでのところストレート(そのまま無加工の画像)あるいは微調整程度でほぼ満足のいく結果が出ていることをお伝えしておきたい。「たかが魔法のRAWデータ、されど魔法のRAWデータ」これからも長い付き合いになりそうである。
2005年03月 write.
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