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Martinの「デジカメ指南」
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tips43 紅葉を撮る
赤や黄色に彩られた秋景色。その鮮やかな色彩にまどわされて、ついつい安易にシャッターを切ってしまいがち。また、せっかく苦労して撮影したものの、「こんなはずでは…」と後で泣く事の無いよう、紅葉の撮影の基本的なポイントを拾ってみたい。
<はじめに>
"美味しい料理を作るヒケツは、旬で新鮮な食材を用いること" 写真の世界でも同様で、被写体が良くなければ、どんなにテクニックを駆使して撮影しても、最高傑作にはめぐり合えないのである。そこで、撮影場所に到着したら、先ずはピークを迎えた紅葉スポットを探していただきたい。ひととおり下調べをしたうえで、おいしいところをGetしたいものである。できることなら、出かける前の下調べも忘れずに。
<たかがホワイトバランス、されどホワイトバランス>
「きれいな紅葉を撮影したはずなのに、紅葉が黄葉に…」よくある話であるが、実際には見た目よりも白っぽかったり、青っぽく写ることがある。デジカメの場合、大抵がホワイトバランスがオートに設定されているために、黄色い紅葉になったり、曇りの場合などには見た目の色に写らないことが多い。
フィルムカメラの場合には、露出補正など経験と勘をたよりに、仕上がりを予測して調整しなくてはならないが、デジカメの場合には、液晶モニターというその場で確認できる強い味方がある。ホワイトバランスという優れモノと組み合わることで、より実際のイメージに近づけることが出来るのである。そういう時こそ、ホワイトバランスの設定をいじってみていただきたい。方法は至って簡単!液晶モニタを見ながら一番イメージに近い設定(ダイアルとかボタンで選ぶ)を選び、あとはシャッターを押すだけである。
<ここからが本論>
写真撮影において最も重要なポイントは露出。色づいたきれいな葉を撮るとき、背景が暗かったり、濃い緑の時にはそのまま撮影すると全体的に明るく写ることや、青空や曇り空などが背景になるときには空が明るいのでそのまま撮影すると暗く写ることが多い。特に、紅葉風景などは画面内の明暗差が大きいために、カメラ任せの露出では暗すぎたり明るすぎたりと、イメージ通りの写真にならないことも多いのである。そこで、お手持ちのデジタルカメラに露出補正という機能が搭載されているならぜひお使いいだきたい。液晶モニターで確認しながら、+0.25(-0.25)EV、+0.5(-0.5)EV、+0.75(-0.75)EV...というように、プラス(オーバー)側あるいはマイナス(アンダー)側に動かしてみて、お気に入りの状態でシャッターボタンを押すのであるが、撮影条件によって違いはあるものの、撮影する紅葉の背景が暗いときにはマイナス補正、明るい空などではプラスに補正を基本に、逐次液晶モニターで確認しながら、何枚も露出を変えて撮影しておいていただきたい。
なお、機種によっては、オートブラケットと呼ばれた便利な機能(シャッターボタンを押しつづけている間、-0.5EV、±0、+0.5EVなどと3段階の露出で、連続3コマを撮影できる)が搭載されているものもあり、これを利用すれば面倒な操作からも開放されよう。つまり、これは!と思ったシーンに出会った瞬間には、「同じシーンを3段階くらい露出を変えて撮影し、その中から一番出来の良い写真を後から選択する」という銀塩カメラならではのテクニックで、ぜひ押さえておきたいものである。「二度と訪れることのない感動の瞬間なのだから…」
<紅葉の撮影にも、PLフィルター>
PLフィルターとは、カメラのレンズ表面に装着するフィルターの一種で「偏向フィルター」とも呼ばれている。※フィルター自体が回転式になっていて、角度を換える(回す)ことで効果の度合いが変化する。余分な反射光や青空のにごりの原因となる偏光成分を取り除き、ガラス面や水面などの反射を除いたり、空の青さを強調したり、風景撮影おいては色彩・コントラスト効果のある必須のフィルターなのである。撮影時の光線状態にもよるが、これを使用して撮影した場合、クリアーで立体感のある描写になり、鮮やかな被写体を本来の色に再現するという効果が得られるもので、紅葉の撮影にもよく用いられている。
コンパクトデジカメなどは、こうしたフィルターを装着できないものも多い。しかし、レンズに装着できなくともレンズの前面にかざす事で同等の効果が得られるため、銀塩カメラマンでフィルターをお持ちの方(サイズは不問)は、一度お試しいただきたい。
<逆光・半逆光でメリハリを>
逆光や半逆光の被写体は、キラキラと輝く輪郭線がとても美しいもの。特に、透過光下でも紅葉は透明感があふれ、最もドラマチックに映る。「紅葉は逆光で撮れ!」 これは写真界でのセオリーである。被写体への光の当たり方にも注意をはらうことで、メリハリのある感動的な作品が仕上がるということを、覚えておいていただきたい。
<紅葉を引き立たせるために>
「主役である紅葉を、一層引き立たせてくれる名脇役の存在なくして作品は語れない」多くのベテランカメラマンといわれる人たちは、寺院など古い建造物や雨に濡れた岩などを背景にすることで、しっとりと情緒ある作品に仕上げている。また、紅葉には水辺の風景が良く似合うといわれている。例えば、流れ落ちる滝を背景にした紅葉や、こけむした岩場にさりげなく舞い落ちた紅葉などは、カレンダーなどでもよく見かけるのではなかろうか。極めつけは、水面に映った紅葉である。かく言う私もよく利用するテクニックであるが、紅葉と水面に写った紅葉を組み合わせたり、水面に映った紅葉だけを撮影したり…と、お好みに合った感覚で料理していただきたい。
<雨の日にもドラマが>
雨上がりの濡れた質感と色はとても情緒豊か。こういうときは、空を写さず紅葉だけを狙って撮影してみたい。紅い葉っぱの先についた水滴にもドラマはある。但し、雨上がりはとくにブレやすいので、出来れば三脚を用意したい。
<転ばぬ先の杖>
きれいな紅葉の景色を撮ったつもりでも、写真になるとその感動が伝わりにくいことが多い。原因の一つには、フレーミング(写真の世界では構図と呼ばれ、興味をひく部分を液晶画面やファインダーを通して切り取ること)に問題がある。紅葉を目の前にして、撮影している本人にはきれいな紅葉であっても、写真を見る人にはなかなか伝わりにくいもの。また、「あれもこれも…」と広い範囲を欲張りすぎるあまり、何を撮りたかったのかがわからない写真になってしまうことも多い。そのためには、タテ位置やヨコ位置、アップなど、いろいろと角度を変えて撮影しておいていただきたい。あとで「こんなはずではかなかった…」と悔やまぬためにも。
<アップの撮影も背景に注意して>
形のきれいな葉っぱをアップで撮影する時は、出来るだけ葉の色や形が引き立つよう、単純な色の背景を選びたい。ほんの少しカメラを移動するだけで、ずいぶん違った作品に仕上がることも多いのである。そのためにも、きれいな色の葉や形のいい葉を見つけたらとにかく1枚!そして、葉の形がよく見える角度や背景の色や明るさなどを考えて、じっくりシャッターを押していただきたいものである。
<最後に>
最後は、いつもお決まりの三脚である。紅葉撮影に限らず、液晶モニターで確認してはみるものの、「自宅に帰ってがっくり」という事態だけは回避したいもの。私自身、何度も苦い経験をしているだけについつい口にでてしまうが、構図や露出云々をいうまえにカメラブレ対策は万全でありたい。小型軽量が売り物のデジカメだけにそのリスクは大きく、あくまでも自己責任の範囲でとお断りしたうえでの使用をお薦めしたい。銀塩カメラと違い、大型で重量な三脚でなくとも、カメラブレしなければ、軽量・安価なタイプのものでもかまわない。行きつけのお店で相談に乗っていただければと思う。
ちなみに、現在、デジタルカメラで撮影した画像を家庭用パソコンプリンタで出力した作品で、写真展を開催しているところであるが、時代とともに高画質化が進みA4サイズなら十分に鑑賞にも堪えられるようになってきた。また、無料のギャラリーも増えてきており(田舎の話であるが)、作品発表への環境も整いつつある。いつか機会があれば、「自作プリントで趣味の写真展開催」を目標に作品づくりに励んでいただくことをお薦めする。
2004年09月 write.
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