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Martinの「デジカメ指南」
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tips34 顔料プリンタの実力や如何に
究極のプリンタ出現に一喜一憂したものの、染料インクがゆえの避けられない宿命「退色」が大きくクローズアップされることになった。(関連:tips31、32参照)対策を模索しながらも、新たな顔料インクプリンタの出現を心待ちしていたユーザーも少なくないのではないか。そこに登場したのがE社の顔料インクプリンタ(A4)である。果たしてこのプリンタ、退色防止の救世主になり得るのか?その実力や如何に!
<新製品が続々と発表>
インクジェットプリンタのシェア拡大に凌ぎを削るC社とE社。その両社から新らたな製品が発表されたことは既にご承知のことと思う。なかでも、C社は、6色インクを採用していた従来のハイエンドモデル「PIXUS 950i」に新たにレッド(赤)インクを追加した7色インクを採用したモデル「PIXUS 990i」を投入し、写真画質プリンターとしての画質をいっそう高めたのが特徴。しかし、退色防止の救世主とされる顔料インクの採用については、残念ながら見送られている。
一方のE社のハイエンドモデル「PX-G900」では、新開発の顔料系インクを採用し、インクジェットの弱点であった耐光性や耐オゾン性を大幅に向上させたのが特徴となっている。また、従来より顔料系インクを採用した「PM-4000PX」がラインアップされていたが、PX-G900ではインクの改良により光沢紙への印刷が可能となり「顔料系インクは光沢感がない」という欠点を克服したとしている。
<カタログだけでは分からない>
両社の新製品登場にあわせ、「A4インクジェット最上位モデル徹底対決!」などと、カメラ雑誌がこぞって特集記事を掲載している。Web上でも同様の評価記事が掲載され、筆者も多分に漏れず読みあさることとなった。
が、しかし…である。評価記事は参考とはなるものの、果たしてどれだけの実力があるのかは手にしてみないと分からない。来年には、A3顔料インクジェットの最高峰「PM-4000PX」の後継機登場が噂されるなか、あえてPX-G900の実力を試すことと相成った。
<オープン価格>
最近は希望小売価格に比べ市場価格が大幅に下落するなどの理由から、各社こぞってオープン価格表示となっている。これがユーザーにとっては誠に厄介な代物であり、先ずは 価格COMにてWeb調査を敢行した。その結果は、概ね34.5千円〜40.8千円(登録上位40社)。「さすがに都会は安い!」分かってはいるものの、如何ともしがたい当たり前の結果。(^^; 通販を選べばいいのであろうが、直ぐに手にしたいという真理には勝てず、近隣のShopに出向くことになるのである。幸いにも、メールマガジン「月間わいわい」ユーザーの地元でも、新たに開店したShopに対抗しての値下げ競争(他店が表示価格よりも安ければさらに値引きしますとの触れこみ)が激化?し、大都会にはかなわないものの、購入を目指すユーザーにとっては有利な条件となってきた。
<顔料インクの実力>
テストの前に、今回のリポートの目的を明確にしておきたい。
・媒体は、デジカメ画像や銀塩フィルムから取得した画像
・印刷は、もっぱらA4サイズの高品質プリントに限定
・写真展やプレゼントなど保存を目的とする。
・出来ればインク消費や印刷速度、色彩etc.
先ずは、DIMARGE A1(500万画素)で撮影し、PhotoShopでコントラストを微調整した画像を使用。比較にあたっては、C社のPIXUS950iよりの既存プリント(紫外線99%カットのフィルム袋にて保存中)を対象とした。
◆用紙
・PM写真用紙(光沢)
さすがに、つよインクというだけあって、顔料をコーティングしている樹脂の高密度化やグロスオプティマイザ(光沢感を出すための特殊な透明インクで、写真のハイライトなど色味が少ない部分に乗せることで、光沢のある美しいプリントを実現する)の採用により、顔料インクの高光沢化が実現され、これまでの染料インクでのプリントとまったく遜色はない。\^o^/
・PM写真用紙(半光沢)
多くの特集記事でも取り上げられていたが、顔料インクと半光沢紙(絹目調)の相性は抜群で、しっとりとした色調のなかにも重厚さが感じられる。光沢紙と比べ半光沢紙は鮮やかさがいっそう際立っている。光沢紙と同様に、お徳用パックの販売が待たれる。...へ(__へ)☆\(^^;)
・マット紙
染料インクのプリントに比べ、鮮やかさには欠けるような気がする。(マット紙の場合、グロスオプティマイザが自動でOFFとなるため)
・他社の用紙
手持ちのC社プロフェッショナルフォトペーパー及びスーパーフォトペーパーにプリントしてみたが、純正用紙とほとんど見分けはつかない。(マットフォトペーパーは、マット紙と結果は同じ)
◆お勧め印刷モード設定
・オートファイン5!のEPSONフィルム調モード
コントラストが増し、ポジフィルムからプリントしたような鮮やかさ、透明感、抜けのいい仕上がりである。
風景などにはとても有効。
・新イメージピュアライザ(写真のノイズ除去処理を行う)
「EPSONフィルム調モード」選択時のみ有効で、従来、色ノイズの除去だけ行っていたものを、輝度ノイズの除去まで行うようにしたことで、とても滑らかな肌の表現ができるようになっている。
・レタッチ派にはICM
RAWファイルでの現像処理画像や、高画質のJEPGファイルなどをレタッチソフトにて、調製(色調・彩度・コントラストなどを)する場合は、ディスプレイの表示と実際の印刷出力の色合いを合わせる(ドライバで勝手に補正されないようにする)ため、このモードを選ぶのである。
◆印刷速度
PM-900Cのころと比べ印刷速度は格段に早くなっている。C社の一世代前のPIXUS950iと比べるとやや劣るものの、それほど待てない速度ではない。印刷品質には、ドラフト(普通紙など)、フォト、スーパーフォトがあり、スーパーフォトにしない限り見劣りする速度ではない。なお、スーパーフォトは、推奨印刷の「きれい」を選ぶか詳細設定の「超高精細」のみに適用されるもので、お勧め印刷モードの「EPSONフィルム調」や「ICM」などは全てフォトモードで印刷される。仮に手動で「EPSONフィルム調」時にスーパーフォトモードを選べなくはないが、実際に印刷したものを比べてもまったく変わらないので念のため。
◆インク
1本あたりのコストは、従来から使用しているPIXUS950iの1本あたり800円弱に比べると、1本あたり1000円弱と正直言って高い。但し、前述の価格競争でインクが10%OFFとなっていることから、1本あたり900円弱なら許せるか。値引きが何時まで続くか分からないが、どうせならこのまま永遠に続いてほしいものである。...へ(__へ)☆\(^^;) インクは全部で8色装着するが、フォトブラックとマットブラックは利用する用紙に応じて自動的に使い分けられるため、実際の印刷では7色のインクが使われることになる。また、グロスオプティマイザ(光沢感を出すための特殊な透明インクで、写真のハイライトなど色味が少ない部分に乗せることで、光沢のある美しいプリントを実現する)は、画像によっては消費量も左右されるため通常のインクの半額程度に設定されているのはありがたい。あとは、インクの消費量との兼ね合いである。
現在までのところは、写真プリントを目的にA4で40枚を印刷したが、現時点でのインク残量は以下のとおり。イエロー、マゼンダ、シアンはちょうど半分、フォトブラックは1/3強、ブルーは3/4強、レッドは微減、グロスオプティマイザはまったく減っていない。消費量に関するデータが少ない段階では何とも言えないが、感覚的にはPIXUS950iとほぼ同程度ではなかろうか。
◆色彩
あくまでも感覚的にとお断りしたうえで・・・
今回テストしたPX-G900は、これまで使用してきたPIXUS950iとほぼ似たような仕上がり(色調)となっている。レタッチせずにそのままプリントする方は、迷わずオートファイン5!のEPSONフィルム調モードをお勧めする。色鮮やかで抜けのよい満足いく結果が得られると思われる。但し、間違ってもオートファイン5!の標準は選ばないように。(ドライバが勝手に補正してしまい、色鮮やかとは程遠い浅い色調となるため)私も含めレタッチ派は、迷わずICMを選んで間違いはないと思われる。但し、レタッチ派の方がオートファイン5!のEPSONフィルム調モードを選ぶ場合、図柄によっては彩度が異常に上がりかなり不自然な色調に仕上がることがあるため、お勧めは出来ない。
<総評>
新開発の顔料系インクを採用したPX-G900は、印刷直後でも色調が安定し(染料インクでは、ある程度暗所で放置しないと安定した色調にならない)、耐光性や耐オゾン性などの大幅な向上により色落ちを心配することなく、どんどんプリントできるのは素晴らしい。光沢紙へのプリントも申し分なく、印刷速度も見劣りはしない。今まで探し求めていた恋人に、ようや巡り合えたような気がする。
2003年12月 write.
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