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Martinの「デジカメ指南」
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tips32 退色防止の救世主
究極のプリンタを手にし、創作活動にも一段と熱が入る。しかし、鉄壁とも思えたカラーインクジェットプリンタ(染料インク)にも、大きな落とし穴が待ち受けていた。染料インクがゆえに避けられない宿命「退色」。私を含め、全色顔料インクを使用した家庭用インクジェットプリンタの発売を待てない諸兄のために、インターネット検索にて得られた有力情報の中から、独断と偏見で選び出し、自ら実験(限られた予算内で)を試みることにした。果たして救世主は現れるのか・・・
<ラミネート(ホット)>
まず本体が高額であること。アマチュア用からプロ仕様まで価格の幅はとても広い。フィルム自身も透明度の高いものや紫外線カットタイプのフィルムはかなり高額であることから、容易には手が出にくいのである。私の場合、たまたまホームセンターの大安売りで求めたものに、安価なフィルムを使ってのテストリポートとなった。熱で圧着させるためインクの熱変化を心配しつつ15〜16枚テストしたが、熱による変化はほとんどみられなかった。また、ラミネート後も1ヶ月以上放置しているが退色などの変化はほとんど見られない。但し、3ヶ月以上の長期間にわたり、直射日光の差す場所に貼付したりの例示を見ると、ラミネートといえども退色は顕著に現れている。
ラミネートを施す場合の注意点として、印刷後プリントが安定した状態になるまで(24時間程度)、出来れば暗所にて放置したい。また、ラミネートする際、ラミネーター本体の温度設定が間違っていたり、続けてラミネートする場合など温度が十分でない場合には、表面にムラ(光にかざしてみるとよくわかる)が出来てしまうことがあり、一般的に写真用紙と呼ばれる厚口の光沢紙の場合は、厚口用に温度設定を高くしておくことが必要である。
◆テスト結果から
ラミネートフィルムの透明度は大変重要であり、例え高品位な用紙であっても透明度が低い場合にはぼやけた感じは否めず、十分な力は発揮できない。また、紫外線をカットするタイプのフィルムでなければ退色は避けられないのも事実である。ただ、怪我の功名であろうか、マット用紙にプリントしたものは、より色鮮やかに映り、透明度が低くても十分通用することが分かった。(但し、印刷の際の用紙設定は、マット紙ではなくプロフォトペーパーなど最高の用紙を選択する)
<手貼りラミネートフィルム(Canon)>
およそ1枚あたり100円と、比較的安価な手貼りフィルム。紫外線90%以上カットや透明性が高いことや、プリンタメーカーが販売していることがより安心感に繋がる気がする。また、高額なラミネーターという機械がなくても手軽に利用できるため、クラフト感覚(手作りなど)で少ない枚数を処理する場合に向いている。
◆テスト結果から・・・
説明書に従って、シールを貼る要領で比較的容易に貼ることが出来た。しかし、手貼り処理後、24時間程度は平らなところに放置する必要があるため、置く場所の確保が必要となり、写真展などのように大量にラミネートを施すのには、いささか辛いものがある。
<UV-cut PACK(フォーハート社)>
1枚あたり120円前後で、手に入れることができる袋タイプの製品。紫外線防止接着層(99〜100%)フィルム使用のため退色には有効で、かつ透明性はかなり高い。写真展などのように額に入れて何度も入れ替えるケースなど再利用が可能であるため、デジタルプリントを額装するならば有効か。紫外線防止保存袋であるため、空気の遮断は考えられていないが、感熱紙など紫外線などの影響を受けやすい用紙の保存にも向いており、サイズも豊富である。
◆テスト結果から・・・
UV-cut PACKに入れて額装(額に入れること)し、約1ヶ月間「デジタル写真展」を開催した。展示場所は太陽光線が少なからず差し込む場所であり、ブラインドはあるものの開館中は締め切った状態にはしていない。1ヶ月にわたるテストの結果、退色はまったく見受けられず印刷後のプリントと遜色ない状態で保存されていた。これを見る限りフィルム袋の効果は抜群。自身の用途としては、あえて“一押し”と申し上げておきたい。
しかし、額装する際、UV-cut PACKにプリントを入れてマット紙に固定したのであるが、慣れないせいもあろうが(袋のため)たるみが生じてくるなどの欠点もあり、裏から別の台紙をあてるなど、写真表面にしわが(光が反射して見ずらい)生じないように配慮する必要がある。
<総評として>
テストの結果から、ホットラミネート、手貼りラミネート、UV-cut PACKともに、透明性の高い紫外線カットのフィルムの使用は必須であり、あとはどれくらいコストが投入できるかである。ホットラミネートは、ラミネーターを購入しなければならず少なからずコストはかかる。そのうえ透明性が高く紫外線カットのフィルムを・・・となると二の足を踏まざるを得ない。その点、手貼りラミネートは、24時間平らなところで放置する必要はあるが、フィルム自体透明性が高く紫外線も90%以上カットと最も安価である。(但し、再利用は出来ないので念のため)これに比べUV-cut PACKは、紫外線防止接着層(99〜100%)フィルムを使用した透明性の高い袋であり、価格も手貼りラミネートとほぼ同じで安価であること。また、保存袋タイプであるため再利用は言うに及ばず、デジカメプリント以外にも用途は広く優れモノである。
後にフォーハート社より届いた情報によれば、額装用として糊の付いたフィルム、額やプリントアルバムなど、UV-cutフィルムを使用した製品が順次発売されるとのこと。このUV-cutフィルムを使えば、額装の煩わしさ(写真表面にしわが生じないようにする)からは大いに開放されるであろうし、製品の発売を待って早速使ってみたいものである。
<最後に>
カラーインクジェットプリンタで印刷したプリントの退色現象は、避けては通れない宿命である。時にわかに、E社やC社から続々と最新機種が発表された。いずれ全てのインクジェットプリンタが、染料インクから顔料インクへと移行するであろうが、顔料インクとて退色がない訳ではない。今後の製品の動向を注目していきたいものである。
今回、独断と偏見ながらテストリポートとしてお伝えしたが、このリポートが、カラーインクジェットプリンタ「退色防止対策」の一助となれば・・・と願うものである。
2003年09月 write.
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