本文へスキップ
Martinの「デジカメ指南」
Lectureメニューへ戻る
menu
Lecture41 必撮!(紅葉編)
赤や黄色に彩られた秋景色。
その鮮やかな色彩にまどわされて、ついつい安易にシャッターを切ってしまいがち。
また、せっかく苦労して撮影したものの、「こんなはずでは…」と後で泣く事の無いよう、紅葉の撮影の基本的なポイントを拾ってみたい。
<はじめに>
"美味しい料理を作るヒケツは、旬で新鮮な食材を用いること"
写真の世界でも同様で、被写体が良くなければ、どんなにテクニックを駆使して撮影しても、最高傑作にはめぐり合えないのである。
そこで、撮影場所に到着したら、先ずはピークを迎えた紅葉スポットを探していただきたい。ひととおり下調べをしたうえで、おいしいところをGetしたいものである。
<たかがホワイトバランス、されどホワイトバランス>
「きれいな紅葉を撮影したはずなのに、紅葉が黄葉に…」
よくある話であるが、実際には見た目よりも白っぽかったり、青っぽく写ることがある。
デジカメの場合、大抵がホワイトバランスがオートに設定されているために、黄色い紅葉になったり、曇りの場合などには見た目の色に写らないことが多い。
しかし、デジカメの場合には、液晶モニタというその場で確認できる強い味方がある。そういう時こそ、ホワイトバランスの設定をいじってみていただきたい。
方法は至って簡単!液晶モニタを見ながら一番イメージに近い設定(ダイアルとかボタンで選ぶ)を選び、あとはシャッターを押すだけである。
<ここからが本論>
写真撮影において最も重要なポイントは露出。
色づいたきれいな葉を撮るとき、背景が暗かったり、濃い緑の時にはそのまま撮影すると全体的に明るく写ることや、青空や曇り空などが背景になるときには空が明るいのでそのまま撮影すると暗く写ることが多い。特に、紅葉風景などは画面内の明暗差が大きいために、カメラ任せの露出では暗すぎたり明るすぎたりと、イメージ通りの写真にならないことも多いのである。
そこに、登場するのが露出補正である。
ファインダー(液晶モニタ)で確認しながら、プラス(オーバー)側あるいはマイナス(アンダー)側に動かしてみて、お気に入りの状態でシャッターボタンを押せばいい。
撮影条件によって違いはあるが、撮影する紅葉の背景が暗いときにはマイナス補正、明るい空などではプラスに補正を基本に、逐次、液晶モニタで確認しながら、何枚も露出を変えて撮影しておいていただきたい。
なお、機種によっては、オートブラケットと呼ばれた便利な機能(シャッターボタンを押しつづけている間、-0.5EV、±0、+0.5EVなどと3段階の露出で、連続3コマが撮影できる)が搭載されており、これを利用すれば面倒な操作からも開放されよう。
つまり、これは!と思ったシーンに出会った瞬間には、「同じシーンを3段階くらい露出を変えて撮影し、その中から一番出来の良い写真を後から選択する」という銀塩カメラならではのテクニックで、ぜひ押さえておきたいものである。
「二度と訪れることのない感動の瞬間なのだから…」
<紅葉にもPLフィルター>
PLフィルターとは、カメラのレンズ表面に装着するフィルターの一種で「偏向フィルター」とも呼ばれている。
※フィルター自体が回転式になっていて、角度を換える(回す)ことで効果の度合いが変化する。
余分な反射光や青空のにごりの原因となる偏光成分を取り除き、ガラス面や水面などの反射を除いたり、空の青さを強調したり、風景撮影おいては色彩・コントラスト効果のある必須のフィルターなのである。
撮影時の光線状態にもよるが、これを使用して撮影した場合、クリアで立体感のある描写になり、鮮やかな被写体を本来の色に再現するという効果が得られるもので、紅葉の撮影にもよく用いられている。
<逆光・半逆光でメリハリを>
逆光や半逆光の被写体は、キラキラと輝く輪郭線がとても美しいもの。特に、透過光下でも紅葉は透明感があふれ、最もドラマチックに映る。
「紅葉は逆光で撮れ!」 これは写真界でのセオリーである。
被写体への光の当たり方にも注意をはらうことで、メリハリのある感動的な作品が仕上がるということを、覚えておいていただきたい。
<紅葉を引き立たせるために>
「主役である紅葉を、一層引き立たせてくれる名脇役の存在なくして作品は語れない」
多くのベテランカメラマンといわれる人たちは、寺院など古い建造物や雨に濡れた岩などを背景にすることで、しっとりと情緒ある作品に仕上げている。
また、紅葉には水辺の風景が良く似合うといわれている。
例えば、流れ落ちる滝を背景にした紅葉や、こけむした岩場にさりげなく舞い落ちた紅葉などは、カレンダーなどでもよく見かけるのではなかろうか。
極めつけは、水面に映った紅葉である。
紅葉と水面に写った紅葉を組み合わせたり、水面に映った紅葉だけを撮影したり…と、お好みに合った感覚で料理していただきたい。
また、雨の日にもドラマがある。雨上がりの濡れた質感と色はとても情緒豊か。こういうときは、空を写さず紅葉だけを狙って撮影してみたい。
紅い葉っぱの先についた水滴にもドラマはある。但し、雨上がりはとくにブレやすいので、出来れば三脚を用意したい。
<転ばぬ先の杖>
きれいな紅葉の景色を撮ったつもりでも、写真になるとその感動が伝わりにくいことが多い。原因の一つには、フレーミング(写真の世界では構図と呼ばれ、興味をひく部分を液晶画面やファインダーを通して切り取ること)がある。
紅葉を目の前にして、撮影している本人にはきれいな紅葉であっても、写真を見る人にはなかなか伝わりにくいもの。「あれもこれも…」と欲張らないことが肝要。
そのためには、タテ位置やヨコ位置、アップなど、いろいろと角度を変えて撮影しておいていただきたいものである。あとで「こんなはずではかなかった…」と悔やまぬためにも。
<背景に注意して>
形のきれいな葉っぱをアップで撮影する時は、出来るだけ葉の色や形が引き立つよう、単純な色の背景を選びたい。
ほんの少しカメラを移動するだけで、ずいぶん違った作品に仕上がることも多いのである。
そのためにも、きれいな色の葉や形のいい葉を見つけたらとにかく1枚!
そして、葉の形がよく見える角度や背景の色や明るさなどを考えて、じっくりシャッターを押していただきたいものである。
<おわりに>
最後は、いつもお決まりの三脚である。
紅葉撮影に限らず、液晶モニターで確認してはみるものの、「自宅に帰ってがっくり」という事態だけは回避したい。筆者自身、何度も苦い経験をしているだけについつい口にでてしまうが、構図や露出云々をいうまえにカメラブレ対策は万全でありたい。
銀塩カメラと違い、大型で重量な三脚でなくとも、カメラブレしなければ、軽量・安価なタイプのものでもかまわない。行きつけのお店で相談に乗っていただければと思う。
2012年09月 write.
このページの先頭へ
ナビゲーション
トップページ
top page
はじめに
introduction
プロフィール
profile
使用機材紹介
item
不定期コラム
column
ギャラリー
gallry